食べかけのたい焼きやカップに注がれるコーヒー、指につままれて変形した豆大福、溶けてつながったトーストのチーズ……。一見本物にしか見えない食べ物の木彫り作品をSNSやTVで見かけたことはありませんか。
木彫りアーティスト、キボリノコンノさんの作品集「キボリノコンノ作品集 キボリアル」では、朝食メニューやお菓子をモチーフとした作品の写真とその製作工程を紹介。パッと見で食べ物そのものの木彫り作品を楽しむとともに、食べ物の持つ柔らかさや瑞々しさを、木彫りという手段でどのようにして表現しているのかをも合わせて知ることができる一冊となっています。
本記事ではChapter4「KIBORINO FOODS」より、「焼鮭」をモチーフとした木彫り作品を紹介します。
焼鮭
メイキング
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好きな食べ物でも彫りすぎてはいけない
鮭は、実際に自分で鮭を焼いて見本にしました。私は鮭の皮が好きで、そこの美味しそうに見える表現にこだわりました。まず、皮目のうろこ1枚1枚を彫刻刀で彫って立体感を出し、パリパリ感が出るようにしています。着色もこだわっていて、こう見えてかなりたくさんの色を使っています。銀色をベースに、黒、青、紫、赤、オレンジ、黄色、茶色を混ぜ合わせて美味しい皮の焼き加減を調整しています。
身の部分は、鮭の繊維の形が出るように彫刻して、焼いた凸凹感を出すために、凸凹の1番高い部分を残しながら、彫り上げていくイメージ。彫り進めればいいというものでもないので、気をつけて進めて行きました。
Point of Making
1, 木彫り
実物をよく観察し、木材に鉛筆で焼鮭の輪郭を描いたら、その線に合わせて電動糸鋸で切り出していく。皮目のうろこは彫刻刀のカーブを使って細かく刻んでいく。
2. 着色
アクリル絵の具とパステルを細かく削ったもので着色。まばらに焦げを描いていくとよりリアルになる。ニスを塗って、焼鮭から染み出てくる油を再現し、乾かしたら完成。