PICTURESでもインタビュー記事などでご紹介しているイラストレーター・藤ちょこさんの画集「彩幻境」が発売中です。
藤ちょこさんによるファンタジックで色鮮やかな世界に佇む少女を描いた作風は、国内のみならず海外においても高い支持を得ており、展覧会のメインビジュアルや広告など、様々な分野で起用されています。「彩幻境」は、2015年にビー・エヌ・エヌ新社から出版された「極彩少女世界」に続き、単独の画集としては2冊目。技法書収録のイラストからオリジナルの未公開作品、ゲーム、ノベル、Vtuberなど、直近5年間の作品を中心に収録し、巻末には収録作品についてのコメントも掲載しています。
なお藤ちょこさんの著書としては画集のほか技法書も手掛けており、PICTURESではその中の一冊「美しい幻想世界とキャラクターを描く」の一部を連載として掲載中です。
下記では収録作品のうち、オリジナルイラストを6点、著者による巻末コメントとともに紹介します。
少女以外は全員左(前)を向いてます。世界はめまぐるしいスピードで前へ進んでいくけれど、もうちょっとだけここで立ち止まって絵を描いていたい……そんな気持ちを込めて描きました。
2019年(上)と2020年(下)のお正月イラスト。なんとなく同じ感じの構図にしました。鼠パーカーの耳の模様は、よく見ると「2020」になってます。
主に専門学校のライブペイントで描いた作品群(+後日加筆修正)です※。ライブペイントは時間が限られているので、必然的にキャラクターメインでシンプルな構図になるのですが、かえってそれが少ない要素で絵を保たせる良い訓練になりました。制約が無いとつい要素を盛り盛りにしてしまいがちなので。また、キャラクターメインのイラストを描く自信も、ライブペイントを通じてついてきた気がします。
※本書には上記イラストのほか20点のライブペイントイラストを収録。
私が四季に感じるイメージを絵に込めました。夏を擬人化すると一般的には元気で明るく楽しいキャラになることが多いですが、個人的には夏って一番”死”を感じる季節だと思っています。終戦記念日などで死について考えることが多いし、お盆があるから彼岸と此岸の境界が曖昧になりますし。
――夢を見る。あの植物園に迷い込む夢を。わたしたちの生まれた年に、屋敷のとなりに建てられたものだ。わたしたちは乳母の目を盗んでは植物園に入り込み、草花の間を走り回るのが大好きだった。
姉は何を思ってこの植物園で首を吊ったのだろう――。
2年くらい前から描きたかった絵なんですが、需要がないだろうなーと思って描けなかったものをやっと仕上げることができました。美容室で並列に並んだ鏡を見て思いついた構図です。この絵のために、新宿御苑の大温室に行って植物や建物の参考写真をたくさん撮ってきました。