カメラを買い、日常的に写真を撮るようになると、思っていた以上に「光」の重要性に気づくのではないでしょうか。自然光を使い、自分なりに工夫して撮るのも楽しいものですが、ストロボを使って光をコントロールできれば、屋内、屋外問わず、様々なシーンでクオリティの高い写真が撮影できるようになります。
「はじめてのクリップオンストロボ」では、外付けのストロボ、いわゆるクリップオンストロボの使い方をやさしく解説。ストロボの使いどころやその効果を豊富な作例でわかりやすく紹介しており、実践するシーンをイメージしやすい点が特徴です。そのほか、露出の基本からシンクロ撮影、オフカメラ撮影などの応用テクニックまでカバー。近いシーンを自分で用意し、実践を繰り返すことで、確実に上達できる一冊にまとまっています。
本記事では、Chapter2「光・露出・ストロボの基本を学ぼう」より、写真撮影に慣れてきたタイミングで理解しておきたい「マニュアル撮影」のコツと作例を紹介します。
露出を設定していく順番
ここで紹介するのは、私がマニュアル露出で設定していく順番です。ご自身の撮影で、優先順位が高い項目から設定をしていけばOKです。
1. シャッター速度を設定する
被写体ブレ、手ブレが起きないシャッター速度に設定します。止まっている被写体なら1/125秒、ジャンプのような速い動きは1/500秒以上を目安にします。
2. 絞りを決める
ピントの合う範囲をF値で設定します。私は人物撮影では、1人は絞り開放、2~3人の横並びはF4、前後ならF5.6、集合写真2列はF5.6、3列の場合はF8を目安にしています。
3. ISO感度で明るさを調整する
画面の明るさは、ISO感度を上げると明るく、下げると暗くなります。ISO感度を最低感度に設定しても明るい場合は、シャッター速度か絞りで調整します。
マニュアル露出のメリット
マニュアル露出は、とても便利な撮影モードです。難しそうですが、シャッター速度、絞り、ISO感度がそれぞれどういうものか理解していれば、簡単に設定を組み合わせられます。AE露出ではカメラが自動で露出を決めるため、シャッター速度を速くすると絞り込めないし、絞りを開けるとシャッター速度を遅くすることができません。マニュアル露出なら、ISO感度の設定で明るさを決められるので、シャッター速度と絞りを撮影者の意図で設定できます。
マニュアル露出が向いている撮影シーン
シャッター速度を速くして絞り込んだ写真
魚眼レンズで屋外にてジャンプをした2人の瞬間を撮影。ピタリと動きを止めるため、シャッター速度を1/500秒に設定。被写界深度はジャンプする2人と背景をしっかりピントを合わせたかったので、F16まで絞り込みました。
少し暗めのイルミネーションエリアにて手持ちで撮影。イルミネーションの光を玉ボケで表現したかったので、絞りは開放です。イルミネーションを明るく写すため手振れ補正機能を使ってシャッター速度を手持ちギリギリまで遅くしました。