「EOS R」「EOS RP」は、キヤノン最初のフルサイズミラーレスラインナップを支える2機種です。新たにRFマウントを採用し、対応するレンズはまだまだ少ないながらも、RFシステムが生み出す写真、その画質はユーザーから評価を得ています。
「フォトグラファーが教えるCanon EOS R & RP撮影スタイルBOOK」では、キヤノンRFシステムの操作や設定の解説とともに、フォトグラファー自身の手による交換レンズの作例とレビューを掲載。これからRFシステムを使いこなすにあたって、指針となる情報が得られる一冊となっています。
本記事では、Chapter4「Canon EOS R/RPの絶品画質を味わう」より、「Fvモード」と「ドロップインフィルターアダプター」についての記述を抜粋して紹介します。
カメラ任せからマニュアルまで臨機応変に設定を変更できる新モード
新規に搭載されたフレキシブルAE(Fvモード)は、絞り数値、シャッタースピード、ISO感度、露出補正を任意に優先させる撮影モードだ。
撮影状況がダイナミックに変化するときなど、撮影モードの選択に悩む状況下で、このFvモードを活用すれば、すばやい対応が可能となる。
撮影の手順としては、まずシャッターボタン半押しで、カメラ任せの露出設定を出してもらい、そこから撮影者の意図を反映させていく。たとえば、カメラが出した明るさを維持したまま被写界深度だけを浅くしたい場合、絞り数値を変更すれば、シャッタースピードとISO感度が自動で調整される。同様にスローシャッターにしたければシャッタースピードを変更し、明るくしたければ露出補正で調整するなど、撮影状況や撮影者の意図に合わせて、「フレキシブル」な使い方ができるのが魅力だ。
少々慣れが必要だが、使いこなせるようになると、Tvモード、Avモード、Pモードを臨機応変に切り換えられる面白いモードだ。
初期設定ではすべての数値がオート
初期設定ではシャッタースピード、絞り数値、ISO感度のすべてがオートになっている。サブ電子ダイヤルで調整する項目を選ぶ。ここでは絞り数値を選んでいる。
カメラがオートで各数値を出す
シャッターボタンを半押しすると、カメラがオートで出した各数値が確認できる。ここでの絞り数値はF4。
絞り数値のみを変更
メイン電子ダイヤルで選択している項目の数値を変更することができる。その際、選択されてない項目の数値は「オート」で変動する。ここでは絞り数値をF16へ変更した。
絞り数値を固定してISO感度を調整
サブ電子ダイヤルで他の項目を選択すれば、前に選んでいた項目の数値を固定したまま、別の数値を調整することができる。ここでは絞り数値をF16で固定したままISO感度を2000まで下げている。
現場の状況に合わせて自在な画づくり
下の写真は、Fvモードでカメラが出した数値(フルオート)で撮影した写真。上の写真が絞り数値をF2.8に調整した写真。絞り込んで手前の花のみにピントを合わせた。このように、フルオートで撮った写真を、即座に微調整し、さまざまに画づくりを楽しめるのがFvモードのメリットだ。
レンズの最後部にフィルターを差し込む画期的なアダプター
RFレンズ群は、2019年中に10本になる予定である。しかし、従来資産であるEFレンズ群にも、魅力あるレンズは多い。実際、EOS R/RPユーザーの多くはEFレンズ群を併用するだろう。その際、純正アダプターさえ用意すれば、EFレンズはほぼRFレンズと同様の使い勝手となる。そのうえ、ドロップインフィルターアダプターを使えば、今までよりさらにEFレンズ活用の幅が広がる。
ドロップインフィルターアダプターは可変式NDと円偏光の二種類。それぞれフィルターだけを買い増すことも可能である。
このアダプターにより、前玉が突出して今までフィルターが装着不可能だったレンズでも、フイルターワークができるようになった。もちろん、通常のレンズで使う場合でも利点はある。たとえば、NDフィルターと他のフィルターの二枚重ねをする場合、画質の劣化や周辺部のケラレといった問題が起きることがある。しかし、このフィルターアダプターを利用すればレンズの前後にフィルターを挿入することになるので、こうした影響が少なくなる。
ドロップインフィルターアダプターの種類
ドロップインフィルターアダプターに挿入できるフィルターは3種類。光を吸収する可変式NDフィルターと、反射の抑制ができる円偏光フィルター、そして光に影響を与えず透過させるクリアフィルターだ。
可変式NDフィルターと円偏光フィルターには調整ダイヤルがついており、濃度の調整もできる。
NDフィルターでスローシャッターにする
EF11-24mm F4LUSM で撮影している。日中なのでシャッタースピードは1/32秒。
NDフィルターをきかせることでシャッタースピードを2秒まで落とし、水の流れをなめらかに捉えることができた。この効果を広角レンズで得られるのはうれしいポイント。
広角レンズ+円偏光フィルターで今までできなかった表現を楽しむ
上は円偏光フィルターをきかせた写真。左の偏光をきかせていない写真に比べて、空の濃厚な青を引き出すことができた。 EF11-24mm F4L USM・F7.1・1/160・ISO100・三宅 岳