かつてフィルムカメラで使われていた交換レンズは、スマートフォンで写真を撮るのが当たり前になった近年においても、カメラ好き、写真好きの人々から「オールドレンズ」と呼ばれ親しまれています。オールドレンズは「マウントアダプター」と呼ばれるパーツを用いることで現行のカメラに装着することができます。これまでに発売された膨大な数の交換レンズの中から、自分好みのレンズを見つけるのも、オールドレンズ遊びの楽しみの一つなのです。
「オールドレンズ・ライフ 2019-2020」に掲載している特集の一つ、「最新ミラーレスとオールドレンズ」では、35mmフルサイズおよび中判サイズのイメージセンサーを搭載した現行ミラーレスカメラで、オールドレンズを試用しています。オールドレンズのベースボディとして捉えた現行ミラーレスの実力を探る企画です。
本記事では、キヤノンEOS Rでオールドレンズを使う際に押さえておきたい設定と、作例についての記述を抜粋して紹介します。
広角好きはマゼンタかぶりに注意
キヤノンユーザーにとってオールドレンズは身近な存在にちがいない。デジタル一眼レフのEOSが採用するEFマウントは、フランジバックが44ミリと短い。そのためマウントアダプターを介して様々な一眼レフ用オールドレンズが装着できた。ヤシコンのツァイスレンズをEOS 5D系列で使うというスタイルは、ある種の定番ですらあった。
そんなオールドレンズに寛容なデジタル一眼レフのEOSも、どうにもならないことがあった。それはレンジファインダー機用のレンズ、端的に言えばライカMマウントレンズを付けることだ。こればかりは一眼レフだとどうにもならない。それを軽々と実現してしまうのが、このフルサイズミラーレスのEOS Rである。フランジバック20ミリの本機は、マウントアダプターさえあればどんなオールドレンズでも装着できる。ただし、オールドレンズにやさしいボディかと言うと、必ずしもそうとは言い難い。
ボディ内手ブレ補正は未搭載、レンジファインダー機用広角オールドレンズはマゼンタかぶりが顕著、という具合にいくつか留意すべき点がある。マウントアダプターがあればオールドレンズの装着自体は制約がないものの、ベストな環境と言えないのも事実だ。
社外製マウントアダプターを経由して撮影する時は、「レンズなしレリーズ」を「する」に設定しよう。この設定を怠ると、オールドレンズ装着時にシャッターが切れない。
オールドレンズ装着時、ISOオートの低速限界は手動設定しておこう。使用するオールドレンズの焦点距離に合わせ、「1/ 焦点距離」秒を目安に設定すると良い。
オールドレンズ撮影の際、「LVソフト撮影」は「しない」に設定しておこう。これが有効になっていると、高速シャッターで撮影した時、画像にケラレが発生しやすくなる。
KMZ MC Zenitar-M2s 50mmF2
EOS Rに似合うオールドレンズ、真っ先に思い浮かんだのがこのMCゼニターM2s 50ミリF2だ。丸みを帯びた鏡胴が、曲線主体のEOS Rに良く似合う。1993年生まれのロシア製。オールドレンズとしては比較的新しいレンズだ。
Leica Summilux-M 35mmF1.4
キヤノンのカメラにライカMマウントレンズが付く。しかもフルサイズで撮れる。昔からのキヤノンユーザーにとって夢のような組み合わせだろう。オールドライカレンズの懐かしくも繊細な写りをEOS Rで満喫しよう。