交換レンズを選ぶ際に重視するスペックは、焦点距離や絞り、最短撮影距離や手ブレ補正の有無、重量など、用途によって人それぞれです。しかし多くの人にとって最も気になるポイントは「実際に撮影した時にどう写るか」ではないでしょうか。誰しも買い物で失敗はしたくないもの。それゆえに「製品レビュー」は常に必要とされ、読まれるのです。
家電量販店のヨドバシカメラが運営している「フォトヨドバシ」は、カメラボディやレンズを実際に使用し、作例とレビューを掲載しているWebサイト。「キヤノンEF&EF-Sマウントレンズ 完全レビューブック」は、その中からキヤノンEFマウント用レンズ157本のレビューを抽出し、書籍としてまとめたものです。
本記事では掲載レンズのうち、「ZEISS Planar T* 1,4/50」のレビューを抜粋して紹介します。
マニュアルフォーカスと贅沢な時間を過ごす
素晴らしい画質のズームレンズがひしめく現代においても、単焦点レンズを手にする意義を感じさせてくれる。ツァイスのプラナーとはそういうレンズです。
繊細でシャープな画になだらかなぼけ、独特の立体感。光をうまく捉えてくれるレンズで、何気なく撮った1枚の描写に撮影者自身が驚かされることもしばしば。様々なマウントで生まれながら、いつの時代も最高峰の標準レンズでありつづけたプラナー50mmの名は、やはり伊達ではありません。
金属鏡胴のマニュアルフォーカスレンズということもポイント。ピントを追い込むヘリコイドの感触が絶妙で、1枚1枚の撮影が楽しく、おのずと充足感を得られるはずです。よい感触の万年筆を滑らせればついつい筆が進む。良質な道具はそんな悦びを与えてくれるものです。被写体とじっくりと向き合って撮る、贅沢な時間を与えてくれるレンズではないでしょうか。(Serow)