モデルの撮影時に、どのようにポーズや動きをとってもらったらよいか?ということは、カメラマンにとっていつも悩みどころです。自分から動けない初心者のモデルには、カメラマンが的確に導いてあげる必要があります。「女の子が動きでかわいく見えちゃう55の撮り方」は、この重要なポイントである「動き」をテーマに、伸びやかで躍動感のある写真の作り方を解説しています。
本記事では、チャプター1の「動きを撮るための基礎知識」から、ワタナベタイシさんのアイデアをご紹介します。
「できるかどうかわからない」にチャレンジしてもらう
モデルの動きを引き出すのに、ひとつ重要なポイントがある。それは何かが起こりそうな不確定な要素を入れ込むことだ。
というのも、動きを撮っていくうちに、モデルも撮影者も慣れてくる。それでブレやピントのミスは少なくなり、いわゆる成功の確率は高まっていくのだが、そうすると、逆に「動きを狙う意味」を失ってしまいかねない。
それは動き自体の新鮮さや、生き生きとした表情を得ること。そして想定をはみ出すような偶然性を得ることだ。
そのために、どうするかだが、モデルが「できるかどうかわからない」ことを盛り込もう。
写真は、そのわかりやすい例として、バランスボールに乗ってもらった。当然、難しくバランスを崩すだろうと想定していたが、モデルの体幹が良いため、見事安定してしまった。そこで、急遽バランスボールに乗りながら、カラーボールをキャッチするというお題を付け加えて、難易度を上げた。
こうして、不規則な動きと「うわぁ〜」「きゃあー!」という悲鳴を聞きながら、破顔を狙った。
ITEM バランスボール
バランスボールでバランスを崩させる(笑)。パンパンに空気を詰めず、少しだけゆるく空気を入れると乗りやすくなる。
14時30分ごろ、室内で撮影。横の窓から入る太陽光を主光源にして、白レフで反射させている。白レフは影をやわらげる目的で入れている。