モデルの撮影時に、どのようにポーズや動きをとってもらったらよいか?ということは、カメラマンにとっていつも悩みどころです。自分から動けない初心者のモデルには、カメラマンが的確に導いてあげる必要があります。「女の子が動きでかわいく見えちゃう55の撮り方」は、この重要なポイントである「動き」をテーマに、伸びやかで躍動感のある写真の作り方を解説しています。
本記事では、チャプター3の「撮影テクで動きを強調する」から、ワタナベタイシさんのアイデアをご紹介します。
効果的にデフォルメするには?強調したいパーツをレンズ前に持ってくる
BEFORE
広角レンズは、世界を歪ませて、肉眼で見るよりも広範囲を写し込む。その描写は、近くにあるものをより大きく見せて、遠くにあるものはより小さく見せる。遠近感を強調する特徴がある。
この特徴を利用して、動きをダイナミックに写してみよう。
モデルには、ボールを蹴る動きを指示して、足をレンズに近づけてもらう。すると遠近感がついて足が巨大化!これにより動きをデフォルメかつパワフルに見せるというものだ。
レンズの焦点距離は16mm。モデル撮影において、ほとんど使われることはないだろう。広角であればあるほど遠近感が強くなるので、よりダイナミックな印象は得やすいのだが、そのぶん画面の周辺は歪み、実像とは形が離れていくためだ。
この歪みとダイナミックさを両立させるには、モデルをなるべく画面中央に配置し、無駄な歪みを抑えつつ、強調すべきポイントを作ること(ここでは足)。そして、モデルとの距離も数センチ単位で調整してアングルを探る努力が必要だ。
なお、焦点距離が短くなると、より多くの背景情報が入り込んで雑多な印象になりやすい。背景の整理が効く環境や、写真のようにローアングルからのアオリ撮影で、空を背景にするなどの工夫をしてみよう。
AFTER
ITEM「ニコン AF-S NIKKOR 16-35mm f/4G ED VR」