オールドレンズに興味を持つと、いつかライカレンズを使ってみたいと憧れを抱く人は多いだろう。特にズミクロン、ズミルックス、ノクティルックスなどのオールドライカレンズは、まさに憧れの的そのものだ。
写真家の澤村徹氏は「ライカMLレンズ・ベストセレクション」で、新旧を問わずライカMLマウントレンズを紹介している。本家たるライカ製を筆頭に、昭和時代の日本製レンズ、ロシアレンズ、ツァイス、フォクトレンダー、そして昨今台頭してきた中国製レンズまで、様々なタイプのライカMLマウントレンズを豊富な作例とともに取り上げている。
本記事では、2章の「オールドライカレンズ Mマウント編」から、Noctilux 50mmF1(ノクチルックス)ついて解説する。
F1とは思えないシャドウの締まり
ノクティルックスはライカのもっとも明るいレンズに付けられる名称だ。大きなボケを生み出し、それはこのレンズだけのアドバンテージである。ただし、ただボケが大きいレンズというわけではない。総じて大口径レンズは開放だと描写が甘くなるが、ノクティルックスは開放からコントラストが強い。大きなボケと強いコントラストが合わさり、目の前の光景を印象深く切り取ってくれるのだ。その描写をひと目見れば、多くの人が惚れ込む理由もわかるだろう。
Leitz
Leica M mount
Noctilux 50mmF1
中古価格:650,000 ~ 850,000 円
1976年に登場した第2世代のノクティルックス。第2世代はフィルター径がE58とE60の2種類があり、この個体はE58の前期型となる。