『永沢まことの街歩きスケッチ入門』は、絵描き・イラストレーターの永沢まことさんが、日々の暮らしを営んでいる街のなかを歩きながら、感じたこと、気になったものや人や風景を気軽にスケッチする楽しさを紹介した一冊です。
第9回は、永沢さんが旅で巡った世界の街歩きスケッチをまとめて公開します。
旅でスケッチしよう!
中国、周荘の朝はグリーンが美しい
街に着いた日の翌朝早く、スケッチブックを持ってホテル近くの大通りへ出てみました。
仕事に出かける自転車やリキシャが朝もやの中、ベルを鳴らしながら走っています。
周荘は運河のある水郷の街です。雨も多いので、とにかく街路樹の緑がきれい。
木のそばに立っているだけで癒やされます。
あ、野菜をたくさん積んだ三輪トラックが走って来ました。
スピードスケッチが楽しいヴェネツィアの運河
ヴェネツィアの街は、橋の上や高いところから見るのもいいが、運河の水面すれすれから見るのも面白い。
と思ってスケッチしていたら、突然やって来たモーターボートの水しぶきで紙が濡れてしまいました。
ヴェネツィアの運河の色は、その日によって全く違った色に見えます。
深みのあるヴィリジアンのように見える時もあり、輝くようなエメラルド色に見える時もあります。
でも実は、いつもやや濁ったドブのような色なのです。
次々に描きたくなるセーヌの橋
シテ島の水辺では、ヨガをしたり、セーヌ川を見つめながら瞑想にふける人をよく見かけます。
パリで人物を描きたくなったら、とりあえずここがおすすめです。
若いカップルが、シテ島の上にかかる橋、ポンヌフを眺めています。この橋は印象派の画家たちがよく描いていますし、「ポンヌフの恋人」のような映画の舞台になっているので、観光客にも人気があります。
南仏の街はショーウインドースケッチがおすすめ
プロヴァンスにある、かつての城塞都市レ・ボーは、岩をくりぬいた洞窟に作られたお店が立ち並ぶおしゃれな街です。どの店もショーウインドーが楽しい。奇抜な格好のマネキンが、古いお城の壁や岩の背景に良く似合っています。
レ・ボーに近いアルルは、かつてゴッホが滞在して「アルルの跳ね橋」等を描いた街としても知られています。この街のお店のショーウインドーも、1軒1軒アイデアを効かせていて面白い。つい立ち止まって見ている人もいます。
NYはやっぱり摩天楼を描かないわけにいかない
ニューヨークと言えば摩天楼です。数あるビルの中でも、その美しさではクライスラー・ビルが一番です。
このビルは、世界一高い建造物として1930年に完成しましたが、翌年わずか1m高いエンパイア・ステート・ビルが出来たため、あえなく王座を奪われたそうです。
摩天楼を描いていると、かならず飽きてきます。ビルは味気のない直線が多いし、それに窓の数がやたらと多くて面倒だからです。
それに比べて、イースト・リバーにかかるブルックリン橋は手作り感があって親しみやすい。橋のたもとには、いつもスケッチする人やカメラマンがいます。
印象的なサン・マルコ広場の夜景をスケッチ
ヴェネツィアの夏の人気イベント、サン・マルコ広場でのオーケストラによる生演奏です。ワイン等を飲みながらスケッチしていると、調子にのってこんなパノラマ描きになりました。
夜空いっぱいに響き渡る演奏は、壮大なイタリア・オペラもあれば、ブロードウェー・ミュージカルの曲もあり、「上を向いて歩こう」なんかも演奏してくれます。
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