「確定申告」は、国税である所得税を自ら計算して、税務署に届け出るための手続きです。「税金を正しく納めるための仕組み」であり、知っておくと便利ですが、いまいちよくわからない、と思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。
「駆け出しクリエイターのためのお金と確定申告Q&A」(桑原清幸・著)では、税金の基礎や収入の区分、帳簿の付け方から節税のコツまで、確定申告にまつわる素朴な疑問について、ケースごとの事例を交えながら、詳しく解説しています。
本記事では「帳簿の付け方」についてのQ&Aを紹介します。
Q.
私は今年から個人事業主になりました。とても面倒なのですが、やっぱり帳簿を付けないといけませんか?
A.
クリエイターの皆さんも、個人事業主である以上は、白色申告か青色申告かにかかわらず、帳簿は付けないといけません。義務とはいえ、帳簿を付けることは、1年間のもうけを計算したり、青色申告の恩典を受けるために必要だったり、とても大切な意味があるのです。
なぜ帳簿を付けるのかというと、一番の理由は、1年間のもうけである「事業所得」をきちんと計算したいからです。「事業所得」がわからないと、確定申告ができず、税金の計算ができません。1年間のもうけである所得は、「収入マイナス経費」でしたね。もうけを計算するには、収入と経費をきちんと帳簿に付けることが大切です。一つ一つの取引を、丁寧に入れておけば、後は会計ソフトが集計して、確定申告に必要な資料を作ってくれます。
帳簿を付けて、最終的に作りたいものは、「青色申告決算書」という表です。4ページあるのですが、1ページ目の表が一番重要です。この表を「損益計算書」(そんえきけいさんしょ)といいます。「損益計算書」は、あなたの1年間の収入と経費を記載して、最後に所得(もうけ)を計算するという表になっています。
帳簿を付けるのは、この紙を作ることが最終目標だということを覚えておいてください。途中で「私は何のために帳簿を付けているんだっけ?」と思うかもしれませんが、すべてはこの紙を作るためです。
帳簿を付ける2つ目の理由は、青色申告にできるということです。2章で説明したとおり、きちんと帳簿を付けて青色申告にすると、税金が安くなるうれしい恩典が用意されています。
3つ目の理由として、きちんと帳簿を付けて保管をしておけば、もし税務署が調査に来たときにも説明しやすい、ということです。いい加減に帳簿を付けていると、いざというときに、自分が正しいということを証明できずに、不利な結果になりかねません。
このように帳簿を付けること自体は、個人事業主の義務とされていますが、どうせ義務なら、メリットも意識しながら、前向きに帳簿付けを始めてみてはいかがでしょうか。
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