かつてフィルムカメラで使われていた交換レンズは、スマートフォンで写真を撮るのが当たり前になった近年においても、カメラ好き、写真好きの人々から「オールドレンズ」と呼ばれ親しまれています。オールドレンズは「マウントアダプター」と呼ばれるパーツを用いることで現行のカメラに装着することができますが、これまでに発売された膨大な数の交換レンズの中から、自分好みのレンズを見つけるのも、オールドレンズ遊びの楽しみの一つです。
「オールドレンズ・ライフ 2018-2019」においては、数あるオールドレンズの中でも性能面で個性が際立つ「中望遠オールドレンズ」を特集。正統派レンズからクセ玉まで、バラエティ豊かなキャラクターのレンズたちを作例とともに紹介しています。本記事では、「Biotar 75mm F1.5」の作例と解説を抜粋して掲載します。
ぐるぐるボケは一側面に過ぎない Carl Zeiss Jena「Biotar 75mm F1.5」
ビオター75mm F1.5はクセ玉として定評がある。いわゆる大口径ポートレートレンズで、ぐるぐるボケの出やすいレンズとして有名だ。特にシネレンズブーム以前は、クセ玉の親分のような位置付けだった。
しかしながら、昨今のオールドレンズファンはシネレンズの強烈なクセに慣れている。そうした経験からすると、たしかにぐるぐるボケは発生するが、特に騒ぎ立てるほどのことではない、というのが実際のところだろう。
無論、これには理由がある。実はこのレンズ、一般的なポートレート撮影の距離では、あまりぐるぐるボケが出ないのだ。いわゆるバストショットを撮っている分には、中心部のシャープさ、豊かなボケ、そしてやさしいコントラストが相まって、むしろ高描写タイプのレンズに思えてくる。仮にも戦後のひと時代を支えた中望遠レンズだ。堅実な描写にも注目してほしい。
character notes
描写力:★★★★
ク セ:★★★★
機動性:★★
コスパ:★
ぐるぐるボケで有名なポートレートレンズだが、基本的な描写力もかなりの高水準だ。