子どもたちは、彼らにしかない感性で世界を見ています。その想像力と感性は、時として絵や造形などの形で表現され、大人たちの想像を超えた輝きを放つものです。
イラストレーター、デザイナー、美術監督として知られ、二児の父でもあるロマン・トマさんは、二人の愛息が描いた絵に刺激を受けて、自らの持つ技術を使い、彼らが表現した作品の再解釈を試みました。
「親子デザイン工房」は、ロマン・トマさんと二人の息子、竜之介さんと樹さんの手によって生み出されたイラストレーションをまとめた共著です。本書では、11歳の竜之介さんと9歳の樹さんが発想し、形にしたイラストを、ロマン・トマさんがプロのクリエイターとしてより完成したイメージへと”翻訳”するまでの流れを、イラストレーションとコメントの両面から楽しむことができます。
本記事では、次男の樹さんがお父さんを描こうとして途中で路線変更した結果生まれた「オフラインマックス」を紹介します。
オフラインマックス
トマ
東京スカイツリーでの同じワークショップで樹が描いたのがこの絵です。これを再解釈するのは、私にとって大きなチャレンジでした。髪の毛、緑の目、青い傷跡、特に虹色のポケットは、思いもよらないディテールの組み合わせだったので、難しかったのです。最終的にできあがったキャラクターには、自分だけでは絶対にたどり着けなかった、80年代のサイバーパンクな雰囲気があります。
樹
最初は、お父さんの肖像画を描こうと思いました。髪の毛を描き始めたけど、途中でお兄ちゃん(竜之介)がかっこいいモンスターを描いているのを見たら、気が変わってロボットっぽいのを作りたくなったんです。お父さんの絵は本当にぼくの絵に似ていて、細かいところも一緒。でも、ぼくのよりちょっとよくできてるかな。本当のマンガのキャラクターみたいです!
<玄光社の本>