親子デザイン工房
第1回

親と子でつくるキャラクター造形、すべての始まりになった「ひとつ目のチャンピオン」

子どもたちは、彼らにしかない感性で世界を見ています。その想像力と感性は、時として絵や造形などの形で表現され、大人たちの想像を超えた輝きを放つものです。

イラストレーター、デザイナー、美術監督として知られ、二児の父でもあるロマン・トマさんは、二人の愛息が描いた絵に刺激を受けて、自らの持つ技術を使い、彼らが表現した作品の再解釈を試みました。

親子デザイン工房」は、ロマン・トマさんと二人の息子、竜之介さんと樹さんの手によって生み出されたイラストレーションをまとめた共著です。本書では、11歳の竜之介さんと9歳の樹さんが発想し、形にしたイラストを、ロマン・トマさんがプロのクリエイターとしてより完成したイメージへと”翻訳”するまでの流れを、イラストレーションとコメントの両面から楽しむことができます。

「ただの親バカの可能性もあります(親はいつだって、自分の子どもが誰よりも特別だと感じるものです )。しかしプロとして、私は確かな可能性を感じました。(中略)息子たちの想像力と向き合うことで、すべての子どもたちが創造性を開花させる可能性を秘めていることを示すことができればと思っています」(「AVANT-PROPOS -はじめに-」より)

本記事では、ロマン・トマさんが子どものイラストをリデザインするきっかけになった「サターン」をご紹介します。

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“ひとつ目チャンピオン”サターン

左:竜之介/右:トマ

トマ

すべての始まりは、この竜之介の絵です! 散歩中に偶然出くわした、東京スカイツリーで開催されていた小規模な子ども向けのクリエイティブワークショップで作ったものです。最初はちょっと参加するのを怖がっていた竜之介ですが、結局参加しました。彼の絵はデザインバランスが取れていて、 同時に、シンプルながら素晴らしいディテールも持ち合わせています。たちまち、僕もこのキャラクターを描きたいと思いました! インクを入れずに鉛筆画から直接着色したので、仕上がりは軽い感じになりました。このキャラクター、「サターン」は強いエイリアンレスラーで、銀河レスリングリーグで最も恐れられている存在です。

竜之介

お父さんがクリスマスイブにこのキャラクターを描いてくれて、すごくびっくりしました。まったく予想していなかったから。でも、 本当にぼくの絵を好きになってくれたから、とても嬉しかったです。影を付け加えてくれたのが気に入っています。ボリューム感があって、よりリアルになりました。

 


<玄光社の本>

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