PICTURES編集長のチワワ・イトウです。今日は、コロナ禍で写真を撮る気がなくなってしまった私が、あるカメラに出合うことで、気持ちが変わったというお話をいたします。
昨年2020年は、私が趣味で写真を撮り始めてから20年目の年でした。
でも、その年に世界はとてつもない災難に見舞われて、今なお先が見えない暗闇の真っ只中にいます。
カメラは、私にとって眼であり、最高に楽しいオモチャであり、仕事道具です。と書くと、ちょっと堅苦しいですけど、とにかくカメラと写真が大好きで、ずっと撮り続けてきました。そんな私が、2020年はほとんど写真を撮りませんでした。
写真を撮る気がしない。カメラも持ち歩かない。何にも感動しない。
それまでは、会社に行くときも、家族で出かけるときも、近所を散歩するときも、いつもカバンの中にカメラを入れて、なにか気になるものがあれば、サッと出して気軽に撮っていました。でも、昨年はそんな気になれなかったのです。
「外出自粛」「ステイホーム」「旅行も飲み会も自粛」
当然ですよね、だってそうしないと病の拡大を防げないわけですから。今はそれが一番大事。
でも、毎日ニュースで、今日は◯◯人感染、あれもこれもダメダメダメって聞き続けているので、気持ちがシュンとしぼんでしまいました。
その時に気がついたのは、自分にとって写真を撮ることは、どこか新しい場所に行って、新しい物を見つけた時に、心が反応してシャッターを切ることだなって。その機会が失われてしまったから撮らなくなったのです。
そんなとき新しいカメラを手にした
気持ちがふさがって、どよーんと引き篭もっている12月に、仕事でカメラを借りる機会がありました。発売になったばかりのニコンのフルサイズミラーレス一眼カメラ「NIKON Z6II」でした。
「NIKON Z6II」は、2450万画素の35mmフルサイズセンサーを搭載、ボディー内手ブレ補正機能、ハイブリッドAFにより高速、高精度でピントが合う。という、私にはオーバースペック過ぎるくらいのカメラです。
正直、今持っているカメラで充分だったし、撮る気もしないからあまり気乗りしなかったのですが、せっかくメーカーが貸してくれるのなら、ちょっと使ってみようかなと、ある日、子供と近所に散歩に行く際に持ち出しました。
ファインダーの中に、美しい世界が広がっていた
虫好きの小学生の息子と、いつもの林や原っぱを歩いて虫探ししていました。
私はカメラとレンズの写りのテストという感覚で、目の前の何でもない草や花を撮りました。
撮った写真を観て驚きました。
「わっ、きれいだ!!」
使ったレンズは、 NIKKOR Z 35mm f/1.8 Sという単焦点の標準レンズです。絞りを開けて撮ると、周りが大きくボケて、中心には木の実が美しく輝いていました。電子ビューファインダーは、すこぶる明るくて、一眼レフカメラと相違ないほど美しく見やすいのです。私は、興奮して次々に写真を撮りました。
その日は、夕日が真っ赤に焼けたわけではないし、特別にフォトジェニックな被写体が現れたわけではないし、いつもの日常でした。でも、そんな日常の風景が、とても美しく見えたのです。
人間社会は大変な恐怖に包まれているけれど、自然はいつも通りです、草木は花を咲かせて、小さな虫は土の中で静かに春を待っている。そんな虫を一生懸命に探す息子がそばにいて、小さなことで喜んでいる。
「美しいものは、君のすぐそばにあるよ」
そうカメラが教えてくれたのかもしれません。
「遠くへ、もっと遠くへ」ということばかり考えていた私は、身の回りにあるものをちゃんと見つめていなかったのかもしれません。
おや?
”カメラ”がきれいな写真を撮ったから、気持ちが変わったんじゃね?
それなら新しいカメラじゃなくて、今持っているカメラでもいいんぢゃね?
そうかもしれません。でも、いいのです。趣味ですから、自分の中の問題が解決したのですからオッケー。その日以来、私の気持ちはすっかり変わり、写真を撮ることが楽しくなって、身の回りのものをたくさん撮るようになりました。
その数日後、フルサイズミラーレスカメラ選びに迷いに迷った末に、ある機種を買うことになるのですが、それはまた別の機会に。
写真ってなんて楽しいのでしょう、それでは皆さん、さようなら。
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