ポートレートは専門の写真家がいるほど確立されたジャンルです。カメラを持った人なら一度は撮ってみたいと思ったことがあるのではないでしょうか。
ただ、ポートレート撮影には「モデル」の存在が必須。モデルさんのスケジュールや撮影場所を決めるなど、撮影を始めるまでに多くの段取りが存在します。
そこをヒラリと乗り越えたのが、女性セルフポートレート写真家のRinatyさん。初の著書「#セルフポートレートの裏側 撮影もモデルも全部わたし。」は、自身をモデルとして撮影するセルフポートレートの撮り方、そして撮影の裏側を公開した一冊です。セルフポートレートは、自分がモデルで自分がフォトグラファー。誰もがチャレンジできるジャンルです。
コンセプトは「わたしだけの世界観で、そこに写ったわたしなら好きになれる」。
自分の新たな一面を発見でき、自分のことをもっと好きになれるセルフポートレート作品50点の中から、8点の作品を紹介。第5回は花を使って演出するセルフポートレートです。
恩師への感謝を伝える白いコスモスの花畑
恩師に向けて感謝を伝える一枚
この作品は亡くなった恩師に向けて撮影した作品です。私がフリーランスの写真家に転身した際に大変お世話になった方の訃報を聞き、落ち込んでいる時に写真家のHASEO先生から電話があり、たくさんのアドバイスをいただきました。そして「周りの人への感謝を忘れず、もう一度生まれ変わった気持ちで頑張れ」とエールをいただきました。その後もたくさんの方に助けられて、今の私が存在します。この状況と感謝を天国にいる恩師に伝えたい、これが作品のテーマです。
Point 1 白いコスモスの花言葉を表現
白いコスモスの花言葉には「純潔」と「愛情」があります。沢山の愛情に囲まれて、花のように真っ白になって生まれ変わるという意味を込めて花畑の中で撮影しました。また、天国にいる恩師に向けて献花するイメージで、大きな白い花を作り、空に向かって掲げました。雲が全くない晴天の日を選んで撮影をしていますが、これは心の中に曇りが一つもないという意味を込めています。
Point 2 手前に花を持ってきてインパクトを出す
このロケーションは花畑の面積が非常に小さく、撮るのが難しい場所でした。そのため、広角ズームレンズを使用し、地面に咲く花にカメラを近づけて撮影。そのおかげで、花畑を広く見せることに成功し、インパクトも出すことができました。さらに太陽の位置と反対方向にストロボを設置し、顔を照らしました。
Point 3 ブーケをイメージした衣装
この衣装はブーケをテーマにして、デザイナーのアリスガワアリスさんに制作を依頼。ドレスを着用し、自分自身が花になったイメージで撮影しました。
【撮影の裏側エピソード】園芸用の支柱で花の小道具を制作
手に持っている花の茎は、100円ショップで購入した園芸用の支柱でできています。花が大きく、安定して支えることが難しかったため、なるべく花に近い部分を持っています。撮影当日、幼児が近くを走り回っており、私を見た瞬間不思議そうな顔をして見つめていました。この作品は私にとって大切な作品で、B0サイズのアクリルパネルに加工し、リビングに飾っています。