私たちがネットショッピングをするとき、購入の決め手になる要素のひとつが「写真」です。商品の詳細や使用イメージなど、想像していた通りの商品かどうかをある程度知りたいときは、百の言葉よりも一枚の写真の方が説得力を持つこともあるでしょう。
「ネットショップ初心者でも売れる商品写真の基礎知識とつくり方」では、ECショップにおいて効果的な写真の性質や撮影時の留意点をカテゴリごとに紹介。商品撮影をカメラマンに依頼する際のディレクションについても触れつつ、SNS戦略、カートシステムにいたるまで、ECショップ内の画像にまつわるあらゆるテーマを網羅し解説しています。
本記事ではChapter1「ECにおける写真の重要性」より、その主な理由について説明します。
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ECサイトはコンテンツの質と量が命
ECサイトを構成する要素には写真をはじめ、商品の説明文やスペックなどのテキスト、イラストや図版などがあります。これらをまとめて「コンテンツ」とすると、購入の判断にはコンテンツの質と量が大きく関係していることが各種調査でわかっています。
コンテンツ以外にも、サイトの構成やカートの使いやすさ、決済手段の豊富さなど、実際に購入に至るにはさまざまな要素が絡み合っていますが、ここでは話をわかりやすくするために、コンテンツに絞って話をします。
「Digital Commerce 360」「Bizrate Insights」による 2019年のWeb デザイン調査(対象:EC利用者1,000人)より。
出典:Digital Commerce 360「The Shopper Speaks: The pandemic is a gift to ecommerce」
コンテンツの中でも購入判断の要素として多くの人が挙げるのが写真です。写真は一般的にテキストより「情報量」が多いとされます。また「一目瞭然」の言葉どおり、写真は見る人の心にダイレクトに訴えかけることができます。
近年、ECサイトの利用は半数以上がスマートフォン経由に移行したといえますが、スマートフォンの小さな画面で、文章をしっかり読んでもらうのは難しいと感じています。「伝える」ことにおいて、写真が果たす役割はより重要です。
これらの状況から、写真はコンテンツの質と量の両方を担うことができる存在といえます。ひいては、売上を左右する重要な要素といっても過言ではないでしょう。
写真の点数や善し悪しで売上が変わる
マーケティング情報メディア「BWRITE」の調査によると、ECサイトでファッションアイテムの購入をする多くの人が、商品画像が複数枚ある場合、そのすべてを見ていました。
理由としては「実際に見たり、触ったりできないから」「失敗したくない」「細部まで確認したいから」など、総じてリアルではないからこその不安を解消したいためと推察できます。
みなさんも顧客の立場になって考えてみてください。ネットで買い物をする際は写真をよく見ていることが多いのではないでしょうか。逆に、写真の点数が少ないと、不安になりがちです。そうなると、別のショップを探したり、購入自体をあきらめたりすることもあるでしょう。
ショップ側からすると、当然、機会損失になるので、決して喜ばしい話ではないですよね。
このことから導き出される結論としては「写真の点数は多いほうが良い」となります。もちろん、無理やり多くする必要はありませんが、やはり「リアルで手にとって」に対抗するにはそれなりの点数が必要になりますし、そのクオリティもある程度高いものが必要でしょう。
また、気にすべきは写真の点数だけでなく、クオリティもある程度高いものが必要です。とはいえ、いわゆるプロのフォトグラファーが撮った写真が必要かというと、必ずしもそうではありません。もちろん、プロのフォトグラファーに依頼できればそれに越したことはないですが、先ほど述べたように、「顧客の立場」になって考えてみることが大事です。
スマートフォンで撮った写真でもしっかり売上を上げているショップはあります。顧客が望む情報を丁寧に伝える姿勢で写真を用意することが肝心です。
写真だからこそ伝えることができる
「リアル」の情報量には及びませんが、それでも写真で伝えられる情報はたくさんあります。むしろ、写真だから得意なケースもあります。
たとえば、商品のカラーバリエーションやオプション品の種類を一度に見せるといった場合です。実店舗ではスペースがなかったり、一部欠品していたりして、「すべてを見せる」ということは案外難しいのではないでしょうか。顧客にとっても、いろいろな選択肢をイメージできるので、購入に結びつきやすくなります。
このように、写真の得意なこと、写真だから伝えられる情報を見つけることが、「リアル」に劣らない接客のヒントになります。