カメラを買い、それなりの期間撮影をしていても、特別に機会を作らないと縁遠いままになりがちな撮影ジャンルのひとつが、ポートレートです。相手が必要なこともあり、本格的に始めようと思えば何かと手間暇かかることもあるでしょう。
「ポートレートを始めよう!モデル撮影はじめてBOOK」では、ポートレート撮影に主軸を置いたイベントである「撮影会」について詳細に解説。著者は自身でも撮影会を主催しているプロフォトグラファーの河野英喜さん。実際にいくつかの撮影会へ参加し、撮影会の種類や準備する内容、参加時の注意点などを作例とともに紹介しています。
本記事では前回に引き続き、ハウススタジオでの1対1撮影会参加事例を紹介します。
10:50 クリップオンストロボで光をプラス
クリップオンストロボを付けて、光をプラスしてみました。直接モデルに向けるのではなく左に向けて発光し、壁にバウンスさせた光が当たるようにしています。
今度は、クリップオンストロボにオレンジのフィルタを付けて、色味を調整してみます。左の壁にバウンスさせました。
こんな風に撮れた!
Kono’s Advice:とはいえ、窓からの光でも充分
ここではクリップオンストロボで遊んでみましたが、実はこの部屋は窓からの光で撮ることもできました。照明やストロボがなくても、光を探せば充分撮ることができます。
10:58 庭での撮影もモデルを動かしていこう
庭が空いてきたので移動しましたが、お目当ての板張りのデッキのところはまだ他のカメラマンが撮影中。それならと、撮れる場所で撮ってみます。
あまり歩くスペースはないので、その場で少しモデルに動いてもらうことでバリエーションを考えました。
こんな風に撮れた!
Model’s Voice
カメラマンさんに撮りたい写真のイメージがある場合は、できるだけそれに沿うようにしますのでぜひ伝えてください。例えば、「幸せいっぱいの感じでお願いします」とか、ふわっとした感じでも大丈夫です。
11:08 同じ場所でも光を探せばバリエーションはたくさん
庭のデッキの撮影スペースが空いたので移動しました。光を見て、いろいろなバリエーションを撮ってみましょう。
Kono’s Advice:一つの場所をずっと専有しない
誰もがいい場所で撮影したいもの。とは言っても、ずっと一つの場所で撮影し続けるのは、こういったほかのカメラマンとスタジオをシェアする撮影会では考えものです。ある程度撮れたら次の撮影場所に移動して、譲り合って使いましょう。
A. 写真を見るとわかるように、この時はまだDのスペースで他のカメラマンが撮影中。お互い入らないように、気をつけながら撮影します。
B. 急に日差しが強く差し込んだので、急いで日が当たる位置に移動。庭は木陰が多いので、少し違った光を狙います。
C. デッキの柵に寄りかかってもらいます。木漏れ日がきれいに顔にかかるように注意して撮ります。
Model’s Voice
シャッターの音でポーズを変えるようにしています。なので、カメラマンさんがいいなと思うポーズがあったら、「今のポーズでもう一度」とか「今のポーズで目線をこっちに」とか、その場でポーズを止めるようにしてくれるとうれしいです。
D. 最後は椅子に座っての撮影。頬杖をついてもらって、手で動きを出してみます。自分が動いて、どの角度から撮るときれいに光が当たるか、探しながら撮りました。
Kono’s Advice:後半以降はどんどん撮る!
この最後の庭のデッキの場面では、立て続けに一気に撮りました。最初はカメラマンもモデルも探り探りのような時間帯があるものですが、後半はモデル本人も乗ってくる場合が多いです。よい作品を、貪欲に狙っていきましょう!
こんな風に撮れた!
Bのエリアで撮った作例
Cのエリアで撮った作例
撮影時間:50分
カット数:532枚
前半は部屋の中の撮影で光のバリエーションを考え、後半は庭で日光の当たり方を考えて撮影できました。モデルのうゆさんはベテランでこちらの考えをすぐに理解してくれて、とても撮りやすかったです。天気もよく、楽しく撮影できました!