撮影時のコンディションとして最も基本的で重要な要素は「光」です。撮影者は光が足りなければ照明を用意し、明るすぎればフィルターなどで露出を調整します。光の当て方一つとってもノウハウがあり、撮影者にとって光の使い方、付き合い方は永遠のテーマといえるでしょう。
「自然光だけで美しい ポートレートのつくり方」では、私たちの最も身近にある自然光だけを使ったポートレート撮影をテーマとして、基本的な考え方やノウハウを作例とともに解説しています。
本記事ではChapter3「ポートレートが際立つ かんたんテクニック」より、ポートレート撮影に向いている季節や時間帯の選び方について説明します。
撮り方よりも撮影する時間帯を重視する
自分の好きな空気感が出せる時間帯や季節を理解しておこう。
春はボーナスタイム
春の光
自然光で写真を撮るなら、時間帯はとても大事だ。どの時間帯でどの写真を撮ろうか、というところから勝負が始まっていると言って過言ではない。
カメラを始めたときには、僕もそのことに気付いていなかった。プロのカメラマンでも、夏の12時にカメラ1台で、自分の好きな写真を撮って来るように言われたら、なかなか難しい。太陽の光が強すぎて影が強くなるし、モデルも汗をかくし、条件が悪すぎる。
当初は、プロなら撮り方で工夫してるのだろうと思っていたが、時間帯選びから勝負が始まっていることに気付いた。
そのくらい、写真に向く時間や季節と、向かない時間や季節がある。自分の好きな空気感が出せる時間帯や季節を理解しておこう。
そのときどきの環境を活かして撮る
まず、春はポートレート撮影にとってボーナスタイムだ。光もきれいだし、緑もあるし、なにより気持ちいい。春は逃がすな、と言っておきたい。
夏でも、真昼を避けて午後になれば、それほど影も強く出ず、柔らかい写真に仕上がる。夏なら15時以降か、10時以前がいい。もし昼に撮る必要があれば、日陰を選びたい。
また夏であれば、18時などの夕方でも、夕日を入れて綺麗に撮るという方法もある。設定や編集で後から赤っぽさを減らすと不自然になるので、逆らわずに夕日の色で赤っぽく撮るのがいいだろう。このように、状況に応じて、そのときどきの環境を活かす撮り方や現像にシフトするのも一つの手だ。
一方、「冬の光」の写真は昼に撮った。少しは影はあるが、それほど変な影になっていないし、必要であれば編集できるぐらいの範囲だ。
夏の光
冬の光