バズる! 写真編集術
第10回

遠近感と温度感の演出で「まぶしさ」を表現する

他者との交流を目的としてタイムラインに写真を投稿することは、SNSの黎明期より長く行われてきました。それは自然と、SNSを写真作品の発表の場としても機能する形に進化させています。

バズる!写真編集術」では写真を発表する場としてのSNSにおいて、より多くの人々に作品の魅力を届けるための考え方と調整方法を紹介。SNSで写真が拡散される現象についての考察をベースに、個々の作品で表現したいテーマに沿った調整の具体的な手順を作例のビフォー/アフターによって伝えています。

本記事ではTYPE D「親近感」より、逆光のまぶしさを表現する調整方法について紹介します。

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バズる!写真編集術

トレンド: #道端の雑草すらエモい
逆光フレアを増幅して夕方のまぶしさを表現

Shooting Tips
背景ボケを効果的に使うことで主被写体を目立たせることができます。背景ボケを大きくするには、

  1. 焦点距離の長いレンズを使う。
  2. 絞りを大きく開ける(F値の数字を小さくする)。
  3. ピント位置をレンズに近づける。
  4. 背景を遠くにする。

この4つの要素の組み合わせで実現できます。

Before

  • 逆光フレアを大きく明るくして、まぶしさを表現する
  • 全体を暖色に寄せて夕方の光を演出
  • 手前の草をはっきり見せて背景との遠近感を出す

日が徐々に傾き夕方に近づく時間帯は、被写体探しの散歩が楽しいものです。まぶしさを増す西日を受けて、普段は目もくれない道端の雑草でさえも輝きを放ち、特別な美しさに包まれているように感じられます。

この時間帯の光を編集で再現するには、夕方の雰囲気を作り出すホワイトバランスの調整と、そして西日のまぶしさを再現する逆光フレアの増幅表現、このふたつの組み合わせがポイントになります。さらに雑草のディテールをはっきりさせることで背景ボケからメインの被写体が浮かび上がり、より目立たせることができます。

After

Sony α9 FE 50mm F1.8(50mm)マニュアル(f1.8・1/1600秒) ISO100 多分割測光 WB:晴れ/三重・明和町 7月20日 18時04分

写真編集のポイント

円形グラデーションツールを使ってフレアの大きさや明るさ、色味の調整を行います。

基本補正: 全体の色と明るさを整える

全体の色と明るさを調整して、夕方の色味や明るさに近づけます。ホワイトバランスはやや暖色に寄せ、コントラストを上げていきますが、それに加えて白レベルを上げることで稲や草が輝いているような階調表現を目指します。


基本補正パネルの色温度を暖色に寄せて夕方の雰囲気を出します。

コントラストだけでなく白レベルもプラスして明るい部分をさらに明るくします。合わせてシャドウをプラスして陰の濃さを調整します。

コントラストを上げることで色が濃くなりすぎないように自然な彩度をマイナス、彩度をプラスして全体の色味を調整します。

マスク: 円形グラデーションで逆光フレアを明るくする

逆光フレアを増幅させて夕方ならではのまぶしさを表現します。実際のフレアの中心を円形グラデーションツールの真ん中に据えてフレアにしたい部分までをマスクし、かすみの除去をマイナスすることで明るくします。

ツールストリップ>マスク>円形グラデーション


色温度を暖色に調整し、露光量を上げて明るさのベースを整えます。かすみの除去をマイナスにしてふわっと明るくしたあと、コントラストを上げて引き締めます。

適用前

適用後

マスク: 円形グラデーションで雑草のディテールを強調

手前の雑草のディテールを強調することで、背景ボケと対比させて見かけの遠近感を作り出します。明瞭度を上げることで透過光が明るくなり、夕日のまぶしさも表現できます。マスク範囲を調整して境界をなめらかにしていきます。

マスクパネル>新しいマスクを作成>円形グラデーション

円形グラデーションでピント位置の雑草をマスクします。明瞭度をプラスすることで、ディテールの強化と透過光を明るくする調整を同時に行えます。

適用前

適用後

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