Lightroom カラーグレーディング活用BOOK
第1回

「グレーディング」って一体何?「補正」と「調整」の違い

映像作品などで目にする「画面」の雰囲気は、色合いや明るさなどいくつかの要素によって演出されます。普段何気なく観ている映像作品も、よくよく見てみると登場人物の心理状態や物語の展開によって色合いが調整されていることがわかるでしょう。こうした画面の調整を一般に「グレーディング」といいます。

RAW現像ソフトなどに搭載されている「カラーグレーディング」機能は、元々映像の分野で用いられてきたグレーディングの手法を写真表現に活かす目的で取り入れられたものです。使いこなせば、写真に映画のワンカットのような雰囲気を加えることが可能になります。

Lightroom カラーグレーディング活用BOOK」では、写真家の藤田一咲氏が、写真のカラーグレーディングを行う上で押さえておくべき色の基礎からシーンごとの作例、簡単に試せるパラメータ設定集など、写真表現の幅を拡げる知識やテクニックを多数掲載しています。

本記事ではChapter1「カラーグレーディングの基本」より、「カラーグレーディングとはそもそも何か」について解説します。

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カラーグレーディングとは

カラーグレーディングは色調整機能の一つ
カラーグレーディングは、2020年10月にAdobe Photoshop Lightroom、同Lightroom Classic、また PhotoshopのCamera Rawに搭載されました。この3つの編集ソフトは同じRAWエンジンを共有しているため、機能の動きや効果は同じです。本書では写真をより自分の好みに仕上げたい人が必要とするすべての機能を備えたツールで構成されたAdobe Photoshop Lightroom Classic(以降Lightroom Classic)を使って解説します。

グレーディングとは、もともとは映画では欠かすことのできない、画像の色調や質感を調整する重要な編集テクニックを指す言葉です。グレーディングの目的は、見る人にそれぞれのシーンの雰囲気を伝えやすくしたり、臨場感を盛り上げて感情に強く訴えかけ、作品のトーンや世界観をより印象づけようとするものです。

映画では一般的なグレーディングですが、写真に取り入れられるようになるまでには時間が少しかかったものの、今ではファッション雑誌や広告ポスター、インスタグラムなどをはじめ、日常的に目にするようになっています。Lightroomのグレーディングで中心的な働きをする機能が「カラーグレーディング」。写真に色を導入する(乗せる)ための機能です。写真の[シャドウ][中間調][ハイライト]のエリア、また[全体]に、それぞれ単独で、あるいは組み合わせて色を導入し、[ブレンド]と[バランス]を使い、適用の程度を調整します。ここで注意したい点は、カラーグレーディングは人間の目で見たような、ニュートラルで自然な色合いに近づける「補正」とは異なること。

カラーグレーディングは色の「調整」を行う機能で、その他のトーンカーブやHSL、周辺光量補正や粒子の効果などと一緒に使うことで、色調をさらに調整したり、質感を加え、ユニークで表現力豊かな、印象のより強い写真に仕上げるためのクリエイティブな編集作業を行うための機能なのです。

玄光社オンラインストアにおいて、著者の藤田一咲さんが作成したLightroom用プリセットを39種のセット販売中です。本連載を参考に写真のカラーグレーディングを試してみたいとお考えでしたら、ぜひ購入をご検討下さい。


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