美容師のためのサロンモデル撮影テクニック
第6回

ポートレート・ライティングの初歩的な基本セッティング

広告などで、ヘアサロンの名前とともに掲出されるヘアスタイルのイメージ。そのモデルを担当する人たちのことを、一般に「サロンモデル」(サロモ)と呼びます。

サロンモデルは、ヘアサロンのイメージや美容師個人の世界観を表現するうえで最も重要な役割を担う存在です。モデルの写真撮影は美容師自身が行う場合からプロカメラマンが担当することまでさまざまですが、ほとんどのケースで重要なことは「意図した通りの表現ができているかどうか」でしょう。

美容師のためのサロンモデル撮影テクニック」では、サロンモデルを撮影する際に必要とされるテクニックを作例とともに紹介。地明かりの活用法など具体的な例から、知っておくと便利なちょっとしたコツを収録しており、美容師自身が撮影する場合にも参考にしやすい解説を掲載しています。

本記事では、ライティングによる写り方の違いとセッティングについての解説を掲載します。

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美容師のためのサロンモデル撮影テクニック

Lighting Note

スタジオやサロンでシンプルなライティングを行う際、1灯だけのストロボでも、うまく光を拡散させることで、写りに変化をつけることができます。ここでは6パターンのライティングでその写りの違いをチェックしていきましょう。

01. シンプルな1灯のライティング

ライティングの初歩的な基本セッティングです。太陽は高い位置から地上に降り注ぐため、人物よりも高い斜め上にセットします。光の方向感は自然で立体感は出ますが、直射光のため光の当たる反対側の影になる部分が黒く潰れすぎてしまいます。このままではあまり使われないライティングです。

02. 1灯の照明の反対側にレフを入れる

基本ライティングのまま、光が当たる反対側に白いレフを入れています。レフに当たった光が、影になった部分に光を回すので影が薄くなっています。影の形をはっきり残しながらも、コントラストを下げることができるので、直射日光の夏の雰囲気を再現したいときに使われます。

03. 照明にアンブレラを追加する

照明にアンブレラと呼ばれる傘のような形状のアイテムを取り付けます。傘の内側は白くなっており、光が拡散されることで全体に柔らかい質感になります。陰影の強さも程よく、ビューティーに向いています。アンブレラは簡単に使えるのでストロボ初心者にもオススメです。

04. 照明にソフトボックスを装着する

照明にソフトボックスと呼ばれる箱型のアイテムを装着しています。アンブレラよりも拡散される範囲を狭めた方向性のある光になります。しっとりした質感ながらも適度なコントラストが残るので、高級感のある仕上がりになります。

05. アンブレラ+トレペで光を拡散

アンブレラの光を、トレーシングペーパーでさらに拡散させています。ストロボを太陽、アンブレラを雲、トレーシングペーパーをカーテンに見立てており、曇り空の日に窓から入る自然光が、カーテン越しに人物に当っている、といったイメージです。この中では一番柔らかく、ストロボ撮影ながらも自然光と見間違う仕上がりになります。

06. 照明を真正面から当てる

直射のストロボを真正面からモデルに当てています。カメラに装着するクリップオンストロボと同様のライティングです。生っぽい光が使いきりカメラで撮ったスナップのような質感になるので、ストリートファッション誌のような若者感を演出できます。


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