美容師のためのサロンモデル撮影テクニック
第1回

美容師のためのモデル撮影テクニックを解説〜「サロンモデル」を撮るうえで大切なことは「美容師自身の世界観」

HAIR & MAKE UP / AIRI FUJIHARA, MODEL / KAYA BURROWS

広告などで、ヘアサロンの名前とともに掲出されるヘアスタイルのイメージ。そのモデルを担当する人たちのことを、一般に「サロンモデル」(サロモ)と呼びます。

サロンモデルは、ヘアサロンのイメージや美容師個人の世界観を表現するうえで最も重要な役割を担う存在です。モデルの写真撮影は美容師自身が行う場合からプロカメラマンが担当することまでさまざまですが、ほとんどのケースで重要なことは「意図した通りの表現ができているかどうか」でしょう。

美容師のためのサロンモデル撮影テクニック」では、サロンモデルを撮影する際に必要とされるテクニックを作例とともに紹介。地明かりの活用法など具体的な例から、知っておくと便利なちょっとしたコツを収録しており、美容師自身が撮影する場合にも参考にしやすい解説を掲載しています。

「美容師さんが10人いれば作品の世界観も十人十色。カメラでできることなんて大したことはありません。それよりも、それぞれの美容師さんの好みや世界観を汲み取って、少しでも同じイメージを共有することを大切にしています」(「INTRODUCTION」より)

本記事では「Belle omotesando」所属スタイリスト・藤原愛莉さんのスタイリング例と、撮影の解説を抜粋して紹介します。

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美容師のためのサロンモデル撮影テクニック

撮影場所:Belle omotesando
天気:晴れ
照明:なし・自然光
カメラ:Canon EOS R6
レンズ:EF50mm F1.2L USM、EF85mm F1.4L IS USM、EF24-70mm F2.8L II USM

HAIR & MAKE UP / AIRI FUJIHARA, MODEL / KAYA BURROWS
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mitsugu’s METHOD 撮影テクニック

サロンの大きな窓を生かす
Belle表参道は光の入る大きな窓が多くあります。この窓からの光や、窓枠も生かしながら撮影する位置を決めています。そうすることでヘアスタイルだけでなく、サロンそのものの雰囲気も伝えることができます。

窓からの光を使ってコントラストのある作品に
モデルの右側にある窓からの自然光を使って撮影しています。片方から光が当たると、その反対側は必然的に影となるため、黒く潰れすぎないようにレフ板を使って光を反射させ影を弱くしています。

 

サロンのインテリアも取り入れて
サロンでの撮影の場合には、スタジオでの撮影よりもスペース的な制限がありますが、サロン内にある椅子やソファー、テーブルなどのインテリアも撮影シーンに積極的に生かすことで雰囲気のある作品になります。

Editor’s note

影が強くなりすぎないようにレフを使う
モデルの髪色にもよりますが、髪の毛は色が暗く黒く潰れやすい傾向にあります。髪の毛の動きや質感が黒く潰れないように、暗くなりやすい部分にレフ板を使って光を回します。

レフ板は光を反射させる撮影道具でさまざまな大きさがあり、直径30cm程度のものから、大きなものでは直径1mくらいのものもあります。また、光を反射させる側の面が白いもの、銀や金などがあり、用途に応じてセレクトできます。

藤原さんはメイクもしていました
作品撮りでは、アシスタントが数人いる場合もありますが、藤原さんは、ヘアのみならずメイクアップまで行います。まつげの先まで気を配ったきめ細やかなメイクには感動さえ覚えました。モデルさんとのコミュニケーションを取りながら、その日に作るスタイルとモデルさんの持つ雰囲気をよりよく引き出すメイク術は、「美容師」以上のスキルを自身で磨いてきた証拠です。

衣装も美容師自身でコーデ
撮影前に、衣装のコーディネートをするのも美容師さん自身です。もちろん衣装を用意するのも美容師さんですから、ヘアメイク、メイクアップ、スタイリストと、通常分業されるすべてのことをひとりでこなします。

アクセサリーもたくさん準備
この日は「メガネ」をかけたカットを撮りたいということでしたが、その1カットのためにものすごい数のメガネが用意されていました。光の状態や全体の雰囲気を見てどれをかけるかセレクトしていました。

本書にはこのほか、撮影の際に意識しておきたい、より詳細なポイントの解説や、美容師へのインタビューも掲載しています。


美容師のためのサロンモデル撮影テクニック

 

 

 

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