オールドレンズ・ライフ
第28回

Helios-40-2 85mmF1.5 強烈すぎるクセ玉のさらに尖った使い方

かつてフィルムカメラで使われていた交換レンズは、現在においては「オールドレンズ」と呼ばれ広く親しまれています。

レンズは「写真うつり」の多くの部分を決める要素ですが、オールドレンズの世界においては、必ずしも画面のすみずみまではっきり、くっきり写ることだけが良しとされるわけでもありません。レトロな外観と個性的な写りも人気の一因です。

シリーズ10冊目となる「オールドレンズ・ライフ 2020-2021」では、現行のデジタルカメラで沈胴レンズを使う「沈胴レンズクロニクル」、あえてフレアやゴーストを発生させるレンズを使う「Flare Ghost Collection」などの特集を掲載。各レンズの特徴から装着前に押さえるべき注意点、実写作例など、レンズ沼のほとりに立つ人々の背中を押す内容となっています。

本記事では特集「Flare Ghost Collection」より、「Helios-40-2 85mmF1.5」の作例を紹介します。

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オールドレンズ・ライフ 2020-2021

ボケモンスターの隠された側面

α7III + Helios-40-2 85mmF1.5 絞り優先AE F5.6 1/1600秒 +1.3EV ISO200 AWB RAW 絞り込むとフレアがビームと化す。さらに虹色の波状ゴーストをともなう。

本レンズはぐるぐるボケの出るレンズとして有名だ。海外ではボケモンスター(Bokeh Monster)と呼ばれることもあり、数あるオールドレンズの中でも突出したクセ玉だ。開放で被写体を中心に据えると、周囲が同心円状に回転する。言わば、開放で使ってナンボのオールドレンズだ。

それゆえに、本レンズの絞り込んだ際の秘技はあまり知られていない。逆光で絞り込むと、画面に広がっていたフレアが細くなり、F5.6以降でビーム状になる。しかも虹色の波状ゴースト付きというド派手な描写だ。ただし、ビームフレア&虹色波状ゴーストは、発生条件が厳しい。逆光で光源をフレームから外し、フレアが程良く射し込む角度を探す必要がある。このレンズを愛用している人ですら、この描写に気付いていないこともしばしばだ。使いこなすことで新たな側面が見えてくる。

Non Flare Shot

KMZ / M42 mount Helios-40-2 85mmF1.5 中古価格:40,000~70,000円 1969年に登場した中望遠レンズ。レンズ構成は4群6枚のダブルガウス型。イエナのビオター75ミリF1.5のコピーと言われている。

オールドレンズ・ライフ 2020-2021

著者プロフィール

澤村 徹


(さわむら・てつ)
フリーライター・写真家

マウントアダプターを用いたオールドレンズ撮影、デジタルカメラのドレスアップ、デジタル赤外線写真など、ひと癖あるカメラホビーを提案している。2008年より写真家活動を開始し、デジタル赤外線撮影による作品を発表。玄光社「オールドレンズ・ライフ」の他、雑誌、書籍など数多く執筆。

書籍(玄光社):
オールドレンズ・ベストセレクション
オールドレンズ・ライフ 2017-2018
マウントアダプター解体新書
作品づくりが上達するRAW現像読本

ウェブサイト:Tetsu Sawamura official site
Twitter:@tetsu_sawamura

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