飛行機写真の教科書
第5回

飛行機写真の撮影機材と使いこなし方 アレンジして使いたい「プロのアクセサリー」

旅客輸送、物流、防災、救難、軍事など、様々な領域で活躍する航空機。「もしも空を飛べたら、何がしたいか」という人々の願いを具現化し、用途に特化した機体の機能美は、写真の被写体としてもきわめて魅力的です。

飛行機写真の教科書」では、「飛行機写真」の定義から航空機の種類や運用に関する基礎知識、飛行機撮影に適した機材、撮影場所の選定をはじめ、季節や状況ごとの表現テクニックまで幅広くカバー。

一定の専門的な知識と高い撮影技術を必要とし、難易度が高めの撮影ジャンルではありますが、マスターすれば写真表現に大きく幅を持たせられることは間違いないでしょう。

本記事では、Chapter2「飛行機写真の撮影機材と使いこなし方」より、飛行機写真の撮影時に筆者が使っているアクセサリー類に関する解説を掲載します。

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三脚を使い分ける

日中の飛行機撮影は基本的に手持ち撮影である。しかしながら、三脚を使うことで夜間撮影など表現の幅が広がったり、より精度の高い撮影ができるので、用途に見合った三脚をうまく使い分けたい。

三脚選びの必須条件は、望遠レンズを載せてもブレないことである。雲台は3ウェイ、ビデオ用雲台、自由雲台などがあるが、固定撮影用には3ウェイ、流し撮り用にはビデオ用雲台が使いやすい。

一度のチャンスで画角の異なる写真を撮影するため、2台のカメラを2本の三脚に据えて撮影した。構図を固定しているため、慌てず交互に撮影できる。
筆者が使用する三脚はジッツオ製で、撮影内容に応じてさまざまな雲台を組み合わせる。左から5型6段+ビデオ雲台、3型4段+3ウェイ雲台、2型4段+2ウェイ雲台、2型3段+自由雲台。
薄暮の撮影でブレを低減するため三脚を使用。フェンスをクリアするためには、高さ2.5mを超える大型三脚を使う。

伸縮タイプの脚立が便利

飛行場には安全上の理由から、外周にフェンスが張り巡らされている。このフェンスをクリアして飛行機を撮影するために欠かせないのが脚立である。脚立の高さは撮影場所次第ではあるが、90~120cmクラスが使いやすいだろう。また、フェンス際は不整地であることも多いので、天板を水平にできるよう4本の脚が独立して伸縮できるタイプの脚立が便利だ。

脚立が安定しないとフレーミングが定まらないばかりか、脚立が倒れる危険性すらあるので、安定感の高い脚立を使いたい。

無線を聞いて飛行機の動きを把握する

飛行機の運用時は、飛行機と地上管制とのやりとりを無線で行う。その交信を受信できるのが航空無線受信機、またはエアバンドレシーバーで、海外ではスキャナーと呼ばれる。

無線を聞けばお目当ての機体の動きが事前に分かるので、撮影ポジションの決定など撮影の準備に大いに役立つ。飛行場周辺の管制で使用される周波数帯は、民間機では118~136MHzのVHF帯、軍用機では118~143MHzのVHF帯と225~400MHzのUHF帯を使うが、戦闘機などはこのうちのUHF帯を使用する。

飛行機撮影に欠かせないエアバンドレシーバー。写真のアイコムIC-R6は、0.100~1309.995MHzの広帯域を受信できる航空無線定番モデルだ。

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