交換レンズを選ぶ際に重視するスペックは、焦点距離や絞り、最短撮影距離や手ブレ補正の有無、重量など、用途によって人それぞれです。しかし多くの人にとって最も気になるポイントは「実際に撮影した時にどう写るか」ではないでしょうか。誰しも買い物で失敗はしたくないもの。それゆえに「製品レビュー」は常に必要とされ、読まれるのです。
家電量販店のヨドバシカメラが運営している「フォトヨドバシ」は、カメラボディやレンズを実際に使用し、作例とレビューを掲載しているWebサイト。「ソニーEマウントレンズ 完全レビューブック」は、その中からソニーEマウント用レンズ90本のレビューを抽出し、書籍としてまとめたものです。
本記事では掲載レンズのうち、「SONY SEL35F28Z Sonnar T* FE 35mm F2.8 ZA」のレビューを抜粋して紹介します。
35mm派に通好みな1本
F2.8という控えめなF値が、大口径をひととおり”舐めた”皆さんには刺さりそうな1本。実際に控えめの開放F値のレンズにはよい描写をするものが多いといえます。本レンズもその例に漏れず、スペック的に派手さはないものの、使えばしみじみとよさを感じる描写に、鞄に常に忍ばせることのできるコンパクトな鏡胴で手放せない1本に。
5群7枚のエレメントに3枚の非球面レンズで構成される本レンズは、高画素機にマウントしても安定した写りを見せてくれます。開放からシャープな像を結び、周辺は若干甘さを感じるものの、F5.6あたりまで絞り込めばそれも均一に。色収差は見受けられず、歪曲は若干樽型。クセのない大変美しいボケ味で、これだけでも本レンズを使う価値あり。
まずはズームレンズ群を揃え、単焦点レンズの最初の1本に。または、コンパクトなボディを生かすためこの1本だけなんてのも素敵です。