PIXTA が作家支援プラットフォーム「mecelo」を開始

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mecelo 内では、支援者は作品を購入したり、作品に感想・レビューを投稿したりするなど、コミュニケーションの場にもなる。

アートへの敷居の高さを取り払う作家支援プラットフォーム

パーソナルワークを発表し販売したいと考えるフォトグラファーは多い。しかし、いざ作品を発表しても売れない、販売場所がわからないという人もいるだろう。日本では作品を購入し、楽しむ文化が育っていないのが現実だ。文化庁の発表では、現在日本の美術品市場は2,437億円。大きな金額が動いているが、それはほんの一握りの著名アーティストの作品取引のみ。

その状況を打破しようと名乗りを上げたのが、ストックフォト事業が好調なピクスタだ。

10月中旬、ピクスタが新たな試みとして芸術家支援プラットフォーム「mecelo(メセロ)」を立ち上げた。meceloに登録した「芸術家」は作品を気に入ってくれた「支援者」から毎月少額の支援を受けられ、そのリターンとして制作物を送付する仕組み。毎月の金額やそれに伴うリターンの内容は芸術家自身が決定できる。登録作家の傾向は問わず、写真、絵画、立体作品など多ジャンルだ。

mecelo 事業部長 宮前賢一氏は「一般の人が漠然と持っているアートへの敷居が高さを取り払いたい。まずは、ファッション感覚でアートを生活の中に取り入れて楽しんでもらい、芸術家を支援しながら、ともに作品を作るアート体験を根付かせたい」と話す。

目指すのは「大勢の小さな“足長おじさん”がいる世界」。「芸術家」をより身近に感じてもらい、継続的に創作活動支援を通じて彼らを育て、一緒に楽しむ場を目指す。もちろん作品販売も可能だ。

現在、登録芸術家は招待制だが今後はさらに人数を拡大する予定だ。また、登録芸術家への仕事斡旋、企業による金銭以外の支援なども視野に入れている。

これまで、インターネット上でのプラットフォーム作りを通して、クリエイターとそのユーザーの裾野を広げてきたピクスタ。この「mecelo」はアート市場を育てる突破口となるのか? 今後の発展が楽しみだ。

meceloWebサイトより。各芸術家の作品ページ。
登録芸術家へのインタビューを通して、支援者はその人物像や作品の考え方への理解を深められる。現在、登録芸術家は20名ほど。

コマーシャル・フォト 2018年12月号

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