オールドレンズ・ライフ
第10回

落ち着いた色味とハイコントラストで印象的な画をつくるオールドレンズ Nikkor P・C 8.5cm F2

かつてフィルムカメラで使われていた交換レンズは、スマートフォンで写真を撮るのが当たり前になった近年においても、カメラ好き、写真好きの人々から「オールドレンズ」と呼ばれ親しまれています。オールドレンズは「マウントアダプター」と呼ばれるパーツを用いることで現行のカメラに装着することができますが、これまでに発売された膨大な数の交換レンズの中から、自分好みのレンズを見つけるのも、オールドレンズ遊びの楽しみの一つです。

オールドレンズ・ライフ 2018-2019」においては、数あるオールドレンズの中でも性能面で個性が際立つ「中望遠オールドレンズ」を特集。正統派レンズからクセ玉まで、バラエティ豊かなキャラクターのレンズたちを作例とともに紹介しています。本記事では、「Nikkor P・C 8.5cm F2」の作例と解説を抜粋して掲載します。

>この連載の他の記事はこちら
>前回の記事はこちら

フィールドで映えるハイコントラスト Nikon「Nikkor P・C 8.5cm F2」

α7II + Nikkor P・C 8.5cm F2 絞り優先AE F2.8 1/60秒 - 0.7EV ISO125 AWB RAW 1段絞っての撮影だが、合焦部はわずかに滲みがある。反面、光量の乏しい屋内にも関わらず、とてもコントラストの強い描き方だ。

ニッコール P・C 8.5cm F2は、戦後、ニッコールレンズの実力を世界に知らしめた立役者だ。LIFE誌の専属カメラマンだったデビッド・ダグラス・ダンカン氏が、来日した折にこのレンズと出会い、そのシャープな描写を絶賛したと言う。

その後、ダンカン氏はニッコールレンズで撮った写真を次々にLIFE誌で発表する。ニッコールP・C 8.5cm F2は、ニッコールレンズをワールドクラスに押し上げる契機となったのだ。

シャープさで名を馳せたレンズだが、デジタルカメラとの組み合わせで実写してみると、開放はわずかに滲み、線はやや太めだ。ただし、開放からコントラストが強く、被写体が切り立って見える。とても印象深く被写体を切り取ってくれるレンズだ。ダンカン氏のエピソードに敬意を表し、旅やストリートなど、フィールドに出て力強く被写体に迫りたくなるレンズだ。

α7II + Nikkor P・C 8.5cm F2 絞り優先AE F2 1/1600秒 ISO100 AWB RAW 開放だと周辺光量落ちが大きく、雰囲気のある絵が作りやすい。地味な色合いにも妙味がある。
Nikkor P・C 8.5cm F2 中古価格:30,000~40,000円 Nikon Nikon S mount 1948年に登場した中望遠レンズ。レンズ構成は3群5枚で、テレゾナー型を採用している。ニコンSマウントの他に、ライカLマウントもある。

character notes

描写力:★★★
ク セ:★★★
機動性:★★★★
コスパ:★★★★

フードを外すと標準レンズと変わらぬほどにコンパクトだ。ストリートや旅で使いたい。

KF-CNRFE 税別価格:4,000円 K&F Concept 外爪式のコンタックスCおよびニコンSマウントレンズが装着可能。ソニーEマウントボディにて、どちらも問題なく無限遠撮影できる。

オールドレンズ・ライフ 2018-2019

著者プロフィール

澤村 徹


(さわむら・てつ)
フリーライター・写真家

マウントアダプターを用いたオールドレンズ撮影、デジタルカメラのドレスアップ、デジタル赤外線写真など、ひと癖あるカメラホビーを提案している。2008年より写真家活動を開始し、デジタル赤外線撮影による作品を発表。玄光社「オールドレンズ・ライフ」の他、雑誌、書籍など数多く執筆。

書籍(玄光社):
オールドレンズ・ベストセレクション
オールドレンズ・ライフ 2017-2018
マウントアダプター解体新書
作品づくりが上達するRAW現像読本

ウェブサイト:Tetsu Sawamura official site
Twitter:@tetsu_sawamura


関連記事