ドローン空撮GUIDEBOOK 改訂版2019年
第8回

ドローン飛行に関わる各種法令を把握する 忘れてはいけない「ルール」と「マナー」

個人・企業を問わず普及が進んでいるドローンは、低コストで空撮をしたい場合に採れる最も有効な手段です。いまやミュージックビデオや映画、TV番組の制作、調査研究など、幅広い用途で活用されていますが、ドローンを使って空撮を行うに際しては、映像の基礎はもちろん、適切な高度やアングルを選ぶ操作技術のほか、関連する法令や飛行可能な区域なども把握する必要があり、適正かつ安全に運用するためのハードルは依然として低くありません。

「ドローン空撮GUIDEBOOK 改訂版2019年」では、ドローンの構造から操作の基本、構図の作り方、飛行許可の申請にいたるまで、ドローンで空撮を行うにあたって必要な知識を幅広くカバー。プロユーザーの作例も収録しており、初めてドローンを扱う初心者にも理解しやすい一冊にまとまっています。

本記事では、チャプター4 「ドローン飛行に関わる各種法令を把握する」より、航空法、電波法以外に留意すべき法令について解説します。

*2019年2月記事初出時の法令を元に解説しています。

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ドローン空撮GUIDEBOOK 改訂版2019年

関係各所への許可取りは必須

ドローンはここ数年の間に急激な進化を遂げたため、未だ法整備が追いついていない部分もある。航空法や一部条例以外には、ドローンに関する明確な規定が明文化されていないのが現状だ。しかし、ドローンを飛ばすことで第三者に迷惑をかけたり、危害を加えてしまったり、公序良俗に反するような飛ばし方をした場合には民事的な賠償が発生したり、刑事的な処罰の対象になることがあるので、充分に気をつけよう。

基本的にはドローンを飛ばすエリアの関係各所に許可を取るのが鉄則。例えばDID(人口集中地区)内にある学校で、その校舎全景の空撮写真を依頼されたとする。DID内ということなので、まずは航空法に基づき事前の許可申請を行う。依頼元の学校の許諾は当然得られていても、近隣に住宅等の私有地があるような場合には、事前にお知らせしておくなどの配慮も必要だろう。また、そのエリアで飛ばしていいのかどうかが曖昧な場合にも、そこを管理する人や団体にどんな状況でどう飛ばすのかを伝えて、その可否を確認しておくのが安心だ。

ここに挙げたのは、2018年12月現在の法解釈の観点から関わってくるであろう法令の一部だ。今後の動向次第では新たに規定が設けられる法律や条例も出てくるかもしれない。業務はもちろん趣味であっても、こうした法令を順守した上で空撮を行うことがドローン文化を守ることにもつながってくる。マナーとルールを守って安全な飛行を心がけたい。

小型無人航空機飛行禁止法

2016年4月7日より施行。これにより首相官邸や内閣府等国の重要施設をはじめ外国公館等や原子力発電所等の上空での飛行が禁止されることとなった。詳細は警察庁WEBで。

https://www.npa.go.jp/bureau/security/kogatamujinki/index.html

道路交通法:明確な規道路交通法 定はなく、法解釈により許可がおりることもある

道路交通法にはドローンに関する明確な記述があるわけではなく、法律の解釈により曖昧な部分もあるのだが、公道上でドローンを飛ばしたり、公道で離着陸させる場合にはその道路を管轄する警察署長の許可が必要になる。正式に許可が下りれば、合法的にドローンを飛ばすことができる。

道路使用許可の手続きについて

道路使用許可の申請書等は警察庁のWEBサイトで入手できる。

https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/seibi2/shinsei-todokede/dourosiyoukyoka/permission.html

民法:土地の所有権は、その上空や地下にも及ぶ

民法207条では「土地の所有権は法令の制限内においてその土地の上下に及ぶ。」と規定されている。第三者の所有する土地上でドローンを飛ばす場合には、基本的には所有者の許諾を得る必要がある。

対人・対物事故を起こした場合は刑事罰の対象にもなるおそれも……

対物の場合は民事上の損害賠償責任が問われる。故意の場合は器物破損罪が成立する。対人の場合は業務性や過失の程度によっては、業務上過失致死傷罪や重過失致死傷罪に問われるおそれもある。

迷惑防止条例:第三者のプライバシーを侵害するような飛行は禁止

カメラ付きドローンで故意に民家の窓を空撮するような行為は「盗撮」とみなされ、各都道府県が定める迷惑防止条例違反となり処罰の対象になることもある。また、故意ではない場合でも、撮影した映像に人物が特定できるような形で写り込んだ場合には、ぼかし処理を加えるなど肖像権に留意する必要がある。YouTube等の動画サイトに動画をアップロードする際にも要注意。

プライバシーに関するガイドライン

「ドローン」による撮影映像等のインターネット上での取扱いに係るガイドライン(PDF)

http://www.soumu.go.jp/main_content/000376723.pdf

公園条例・重要文化財保護法:公園や文化財の管理者がドローン飛行を禁止する例も

東京の都立公園や庭園81箇所、大阪市が市内の981か所の公園すべてでドローンの飛行を禁止するなど自治体によっては公園や観光施設などでの飛行を禁止する条例を設けている。自治体によっては県知事の許可を得れば、職員立ち会いのもと飛行が可能になるケースもある。また、寺社仏閣などの管理者が重要文化財保護の観点からドローンの飛行を禁じている例もある。

公園でのドローン規制のガイドライン例

富山県内の公園や指定する25カ所でのドローン飛行に関するガイドライン(PDF)

http://www.pref.toyama.jp/cms_pfile/00015709/00838873.pdf

海岸法・河岸法:進入禁止指定がない場所では自由に飛ばせる

海岸や河川、沼、湖などの場所では進入禁止指定がなかったり、DID範囲外であれば原則として自由に飛ばせるが、業務の場合は自治体や土木事務所等の管理者に届出が必要なケースもある。河川敷のグラウンド等にはドローンを飛ばす以外にも様々な目的の人々が集まる。中にはドローンの飛行を禁止する場所もあるのでそうした掲示があるのか確認しておきたい。

河川法の関係行政機関

河川法では一級河川は国土交通省、二級河川は都道府県知事、その他の河川で市町村長が指定したものは市町村長が管理する。江戸川ではラジコン飛行機等は禁止されている。

江戸川河川事務所・国土交通省 関東地方整備局・川の利用案内

http://www.ktr.mlit.go.jp/edogawa/edogawa_index004.html


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