「確定申告」は、国税である所得税を自ら計算して、税務署に届け出るための手続きです。「税金を正しく納めるための仕組み」であり、知っておくと便利ですが、いまいちよくわからない、と思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。
「駆け出しクリエイターのためのお金と確定申告Q&A」(桑原清幸・著)では、税金の基礎や収入の区分、帳簿の付け方から節税のコツまで、確定申告にまつわる素朴な疑問について、ケースごとの事例を交えながら、詳しく解説しています。
本記事では「クリエイターとして継続して活躍し続けるためのヒント」に関するQ&Aのうちの1つを紹介します。
Q.
クリエイターとして独立して個人事業主になりましたが、数字が苦手で、事業の損益を二の次にしてしまいます。できれば、好きな創作活動に専念したいのですが。
A.
個人事業主は、一人であっても、経営者です。これから一生クリエイターとして暮らしていくには、どうしてもお金が必要です。赤字では続けられません。せっかく独立したのですから、ビジネスの意識を持って、事業を大きくしていきましょう。
数字は見るのも嫌だ、という方も多いと思いますが、ビジネスである以上は避けて通れません。先輩クリエイターの皆さんも、次のように話しています。
先輩クリエイターへのインタビューから
- 自らのスタジオを開設したのをきっかけに、仕事専用の銀行口座を作った。プライベートと仕事を区別することで、経営者としての責任と自覚が生まれた(カメラマンAさん)
- 毎月収支をまとめるようにしている。月次で損益を把握して、嫌でも現実を見るようにしている(カメラマンBさん)
- 自由業といっても、自由の意味を勘違いして、あいまい、なあなあで仕事をしてはいけないと思う(デザイナーCさん)
- 周囲の人たちは、税金や確定申告に対する意識が低い。苦手なら苦手で、専門家に頼るべき。放置するのが一番ダメ(アニメーターDさん)
- 自分のおカネだからどうでもいいや、という感覚がある。家族のためとか、他人のために仕事をしているという自覚が必要だと思う(アニメーターEさん)
- 個人事業主としての自覚を持つことが大切。描くことが好きというだけでは暮らしていけず、辞めていく人を随分見ました(イラストレーターFさん)
今回話を伺ったクリエイターの皆さんは、皆さん数字が嫌いで、最初は苦労しながら確定申告をされたそうです。数字が嫌いだからといって避け続けた結果、長い間確定申告をせずに、あきらめてしまう方もいるようですが、そうなってからでは手遅れです。自分の損益をきちんと把握して、どうすれば収入を増やしていけるか、どうすれば経費を抑えられるかといった、経営的な視点で自分の事業を分析できるようになれば、もっと黒字を大きくして、ビジネスを拡大することができるでしょう。
次のことを心掛けながら、黒字を増やすための「経営力」を身に付けていきましょう。
「経営力」を身に付けるためのヒント
- ビジネスをしているという意識を持つこと
- 年1回の確定申告のときだけでなく、日頃から事業の損益を把握しておく
- なぜ赤字になったのか、どうすれば利益を増やせるか、といった分析の視点を持つ
<玄光社の本>
<著者の新刊>
本書の著者・桑原清幸さんの新刊「駆け出しクリエイターのためのお金と独立準備Q&A」が10月29日に発売されます。本書と併せて、独立後の仕事とお金の管理に、是非お役立てください。