駆け出しクリエイターのための お金と確定申告Q&A
第10回

フリーのクリエイターが利益を出し続けるためには、どうすればいいの?

「確定申告」は、国税である所得税を自ら計算して、税務署に届け出るための手続きです。「税金を正しく納めるための仕組み」であり、知っておくと便利ですが、いまいちよくわからない、と思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。

駆け出しクリエイターのためのお金と確定申告Q&A」(桑原清幸・著)では、税金の基礎や収入の区分、帳簿の付け方から節税のコツまで、確定申告にまつわる素朴な疑問について、ケースごとの事例を交えながら、詳しく解説しています。

本記事では「クリエイターとして継続して活躍し続けるためのヒント」に関するQ&Aのうちの1つを紹介します。

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Q.
クリエイターとして独立して個人事業主になりましたが、数字が苦手で、事業の損益を二の次にしてしまいます。できれば、好きな創作活動に専念したいのですが。

A.
個人事業主は、一人であっても、経営者です。これから一生クリエイターとして暮らしていくには、どうしてもお金が必要です。赤字では続けられません。せっかく独立したのですから、ビジネスの意識を持って、事業を大きくしていきましょう。

数字は見るのも嫌だ、という方も多いと思いますが、ビジネスである以上は避けて通れません。先輩クリエイターの皆さんも、次のように話しています。

先輩クリエイターへのインタビューから

  • 自らのスタジオを開設したのをきっかけに、仕事専用の銀行口座を作った。プライベートと仕事を区別することで、経営者としての責任と自覚が生まれた(カメラマンAさん)
  • 毎月収支をまとめるようにしている。月次で損益を把握して、嫌でも現実を見るようにしている(カメラマンBさん)
  • 自由業といっても、自由の意味を勘違いして、あいまい、なあなあで仕事をしてはいけないと思う(デザイナーCさん)
  • 周囲の人たちは、税金や確定申告に対する意識が低い。苦手なら苦手で、専門家に頼るべき。放置するのが一番ダメ(アニメーターDさん)
  • 自分のおカネだからどうでもいいや、という感覚がある。家族のためとか、他人のために仕事をしているという自覚が必要だと思う(アニメーターEさん)
  • 個人事業主としての自覚を持つことが大切。描くことが好きというだけでは暮らしていけず、辞めていく人を随分見ました(イラストレーターFさん)

今回話を伺ったクリエイターの皆さんは、皆さん数字が嫌いで、最初は苦労しながら確定申告をされたそうです。数字が嫌いだからといって避け続けた結果、長い間確定申告をせずに、あきらめてしまう方もいるようですが、そうなってからでは手遅れです。自分の損益をきちんと把握して、どうすれば収入を増やしていけるか、どうすれば経費を抑えられるかといった、経営的な視点で自分の事業を分析できるようになれば、もっと黒字を大きくして、ビジネスを拡大することができるでしょう。

次のことを心掛けながら、黒字を増やすための「経営力」を身に付けていきましょう。

「経営力」を身に付けるためのヒント

  • ビジネスをしているという意識を持つこと
  • 年1回の確定申告のときだけでなく、日頃から事業の損益を把握しておく
  • なぜ赤字になったのか、どうすれば利益を増やせるか、といった分析の視点を持つ

 


<玄光社の本>

 

<著者の新刊>

本書の著者・桑原清幸さんの新刊「駆け出しクリエイターのためのお金と独立準備Q&A」が10月29日に発売されます。本書と併せて、独立後の仕事とお金の管理に、是非お役立てください。


著者プロフィール

桑原清幸

(くわばら・きよゆき)
1972年群馬県渋川市生まれ。桑原清幸会計事務所代表。税理士・公認会計士。上智大学在学中に公認会計士試験に合格。アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)に入社。大手会計事務所で20年間勤務したのち、独立開業。会計事務所とアートを融合したギャラリーKKAG(Kiyoyuki Kuwabara Accounting Gallery)を設立。植田正治やソール・ライターなど写真を中心とした展覧会の企画制作を手掛ける株式会社コンタクトの財務担当取締役(CFO)を務める。暗室バーの税務顧問も務めるなど、会計専門家の立場からアートビジネスの発展を支えている。趣味は、ライカカメラ収集・写真の暗室作業の他、秘湯スタンプ集め、日本酒立ち飲み屋巡りなど。上智大学経済学部非常勤講師。

ウェブサイト:kkag.jp

書籍(玄光社):
駆け出しクリエイターのためのお金と確定申告Q&A
駆け出しクリエイターのためのお金と独立準備Q&A

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