「確定申告」は、国税である所得税を自ら計算して、税務署に届け出るための手続きです。「税金を正しく納めるための仕組み」であり、知っておくと便利ですが、いまいちよくわからない、と思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。
「駆け出しクリエイターのためのお金と確定申告Q&A」(桑原清幸・著)では、税金の基礎や収入の区分、帳簿の付け方から節税のコツまで、確定申告にまつわる素朴な疑問について、ケースごとの事例を交えながら、詳しく解説しています。
本記事では「源泉徴収」「源泉所得税」に関するQ&Aを紹介します。
Q.
副業でライターをやっています。ウェブサイトの運営会社からの業務委託で、ウェブに掲載する記事を数本書いて、今月の報酬は3万円でした。それなのに、10.21%の源泉が引かれて、手取りが減らされていたのですが、取られた源泉はいったいどうなるのですか? 取られたままでしょうか?
A.
確定申告で、取り返すことができるかもしれません。なぜなら、天引きされた源泉税は、あなたが「仮払い」した税金(所得税)だからです。
せっかくがんばって稼いだのに、もらえるはずの報酬額から、源泉税が天引きされていて、手取りが減らされていると、なんとも悲しい気分になりますよね。
ですが、この源泉税は最後に取り返せるかもしれないので、まだ諦めないでください。確定申告で、あなたの1年間の所得と税金を再計算した結果、戻ってくることがあるのです。これを所得税の「還付」(かんぷ)といいます。うれしいですよね。税金のことを勉強しておいてよかったなあと思う瞬間です。
確定申告については、今後掲載する記事できちんと説明します。ここでは、源泉徴収と確定申告の関係について簡単に紹介しておきましょう。
天引きされた源泉税は、あくまであなたが「仮払い」しているだけです。前回の記事で、源泉所得税は、会社があなたの代わりに払っているもの、という説明をしました。会社経由とはいえ、実際にはあなたが個人としてもらうべき収入の中から、自分の税金を払っている、ということになるのです。
最終的にあなたの所得がいくらになって、税金がいくらになるかは、1年間終わって、すべての所得を集めてみないと、わからないのです。国はそれまで待っていると、税金を取り損ねてしまうので、「報酬をもらったら、10%くらいでいいから、ひとまず税金を払っておいてね。多いか少ないかわからないから、後で各自精算してね」というしくみを作ったのです。
「ひとまず先に税金を払っておいてね」=源泉徴収であり、「後で各自精算してね」=確定申告なのです。ですので、この1年間で必要以上に多く源泉徴収されていたら、あなたが自分の税金を多く仮払いしたことになるので、確定申告で「還付」、つまり多く払った税金を取り返せるチャンスがあります。
それでは逆に、本来引かれるべき源泉が引かれていない、もしくは少なかった場合は、どうなるでしょうか。確定申告で計算された税金の確定額よりも、年間で源泉徴収された金額のほうが少ない(足りない)ときは、追加で税金を納めなければならないのです。
つまり、年の途中で源泉税を多く引かれたとしても、逆に少ししか引かれなかったとしても、最終的には確定申告をすることで正しく精算されるので、トータルの結果は変わらないことになります。結局は、先に払うか、後で払うかの違いなのです。とはいえ、手取りが多い方が、日々のお金に余裕が生まれるので、ありがたいですけれど。
<玄光社の本>
<著者の新刊>
本書の著者・桑原清幸さんの新刊「駆け出しクリエイターのためのお金と独立準備Q&A」が10月29日に発売されます。本書と併せて、独立後の仕事とお金の管理に、是非お役立てください。