ステーショナリーディレクターとして文房具の商品企画やPRのコンサルティングを行う土橋正さんは、著書「暮らしの文房具」にて、じっくり使ってみて分かった、本当にいいと太鼓判を押す文房具を紹介しています。普段の生活から仕事まで、暮らしに寄り添い、長く愛用できる文房具とは、どのような逸品なのでしょうか?
ここでは、第10章「整える」より「クリーナー」と「洗濯ばさみ」を紹介します。
机の上で消しカスに決着をつける
シード
まめコロ
80.5×52.5×48.8mm(本体サイズ)/650円
黒鉛芯ラバーな私は、当然日頃から消しゴムもよく使っている。じゃんじゃん書いて、じゃんじゃん消している。だから日々消しカスをたくさん作り出している。これまではブラシのように指先だけを柔らかく動かしてササッとはらって机から落としていた。
しかし待てよ、それを掃除するのは明日以降の自分ではないか。ならば、今この机の上で消しカスと決着をつけるべきではないか。どんな仕事も後回しにせず、今やれることはやった方がいいぞと、消しカスを鋭い目で見つめながら私は静かにそして力強く決心した。
なにかいい掃除道具はないかとあたりをキョロキョロして、全面粘着のふせんを見つけた。当初は、それでペタペタとやって消しカスをくっつけて掃除をしていた。しばらくすると、専用のものが売り出された。この「まめコロ」は、いわゆるコロコロクリーナーのハンディタイプ。粘着があまり強くないので、ノートの上でコロコロしても紙にまとわりつかず、消しカスだけを取り去ってくれる。
私の机は真っ白なので、消しカスが少しでもあるととても気になる。思考のノイズになってしまうのだ。それをこれでコロコロやって取り去っていく。そして明日の自分に掃除という余計なツケも回さずに済んでいる。
とりあえず書類を束ねるのに最適
洗濯ばさみ
海外に行ったら現地の文房具を扱っているお店に行くようにしている。文房具を通じてその土地の文化や日々の生活が見えてくるようで楽しい。最近注目しているのが台湾。行くたびに大きな刺激を受けている。特に「VVG(VERY VERY GOOD)Thinking」(好様思維)、「Plain Stationery」(直物生活文具)、「TOOLS TO LIVEBY」(禮拜文房具)などは、独自の個性を持っている。店内に入った瞬間からここには何かがあるぞと、私の文房具を探すセンサーが振り切れるくらいに反応する。並んでいるアイテムはもちろんのこと、それらで構成される世界観の作り方が実に巧み。一見関係のないようなものがディスプレイされていたりもするが、不思議と馴染んでいる。
そんな台湾ショップでよく買うのが、洗濯ばさみだ。何も、洗濯物を干すつもりで買った訳ではない。その素朴な佇まいに引きこまれ買ったものだ。帰国後しばらくの間は書斎の引き出しで眠っていた。たまに、引き出しを開けた時にふと手にし、台湾のことを思い出したりしていた。ある時、こうした洗濯ばさみをクリップとして使うことを思いついた。文具のクリップほどしっかりととめることはできない。それを逆手に取って、とりあえず書類を束ねておくのに使っている。また、丸リングを付けて画鋲で壁に貼ってハガキなどをとめたりもしている。
<玄光社の本>