藤ちょこ ー 美しい幻想世界とキャラクターを描く
第11回

藤ちょこさんのイラストテクニック 気になった部分を調整して作品を完成させる

本連載は、鮮やかな色彩と独自に作り込まれた世界観で人気のイラストレーター・藤ちょこさんがキャラクター造形や描き方を解説したメイキング・ブック『美しい幻想世界とキャラクターを描く』から、アジアンファンタジー世界を描いた作品の制作プロセスを追いながら、藤ちょこさんのクリエイティビティの秘密をご紹介しています。

第11回では、気になる細部を調整し、いよいよ作品を完成させます。

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美しい幻想世界とキャラクターを描く

仕上げ

ここからは、気になった細かな部分をひたすら納得がいくまで調節していきます。

細かなモチーフを調整していく

張子の影や、提灯や鈴などの金属部分、キャラクターの細かな色味や質感の調節をします。

【 袖 】

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袖に虎の張子の影を入れて立体感を出します。影を入れることで、張子と袖の距離感も出ます。

【 金属部分 】

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自作テクスチャ「氷山」。

< 提灯 >

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<耳の鈴>

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<刀の鈴>

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各金属部分に自作のテクスチャ「氷山」を貼り込み、質感を強調します。レイヤーの合成モードは、提灯は[焼き込みカラー](不透明度37%)、耳の鈴は[オーバーレイ](不透明度70%)、刀の鈴は[焼き込みカラー](不透明度39%)でそれぞれ貼り込みます。

【 脇の下 】

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合成モード[乗算]のレイヤーでオレンジ色の影を重ね、肉感を出します。

❷髪の毛に密度を足す

髪にもう少し密度が欲しいと思い、合成モード[オーバーレイ]のレイヤー(不透明度60%)でテクスチャを貼り込みました。

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素材サイト『DESIGN CUTS』よりDLしたテクスチャセット「Outer SpaceDigital Paper」の中の一枚。

❸キャラを目立たせ細部を整える

背景全体に[色収差]フィルタをかけ、あえて色がぶれているような印象にし、キャラクターがさらに目立つようにします。これで完成です。

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[色収差]フィルタは『CLIP STUDIO』にはないので、この作業は『openCanvas7』で行なっています。

 

完成した作品、『怪は闇夜に踊る』

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※この作品のデータは、こちらのページからダウンロードできます。

 


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<玄光社の本>

美しい幻想世界とキャラクターを描く

著者プロフィール

藤ちょこ

藤ちょこprof

千葉県出身、東京都在住のイラストレーター。ライトノベルの挿絵や、TCGイラスト、ソーシャルゲームイラストなど幅広いジャンルで活動している。オリジナルイラストも数多く手がけ、 鮮やかで明るい透明感のある色彩や、奥行きを感じさせる構図、背景への丁寧な描き込みが独自の世界観を引き立てている。代表作に『賢者の弟子を名乗る賢者』シリーズ(マイクロマガジン社 著:りゅうせんひろつぐ)挿絵、『八男って、それはないでしょう!』シリーズ(KADOKAWA 著:Y.A)挿絵などがある。著書に『極彩少女世界』(ビー・エヌ・エヌ新社)、「美しい幻想世界とキャラクターを描く」(玄光社)、「藤ちょこ画集 彩幻境」(玄光社)がある。

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