日々目まぐるしく変化していく現代社会において、世界や国内の情勢を正しく見極めるために知っておきたい教養こそ「地理」「歴史」「公民(政治経済)」と感じている方も少なくないのではないでしょうか。
「オトナのための教養が身につく! 日本の地理・歴史・公民」では、スタディサプリの社会科講師を務める伊藤賀一が、義務教育課程の内容にプラスアルファした情報を分かりやすく解説。イラストや図版つきのオールカラーでしっかり学べる”教養書”となっています。これからの社会を生き抜く上で必須の知識を、「オトナ」だからこそ学び直したい時に役立つ一冊です。
第八回の本記事では、第二章の「歴史」から、戦後の日本についてご紹介していきます。
焼け跡にできた「闇市」
終戦直後の日本では、激しいインフレーション(物価高)や物資不足が起きました。とりわけ、食料の不足が深刻で、庶民は非合法の取り引きである「闇市(やみいち)」に頼って飢えをしのぐ有様でした。そんな日本国民を勇気づけたのは、水泳の記録を打ち立てた古橋広之進(ひろのしん)、日本人初のノーベル賞(物理学賞)を受賞した湯川秀樹といった人々です。また、プロ野球や力道山らのプロレスといったスポーツ・娯楽が人気を集め、黒澤明が監督する映画が世界的評価を受けました。
高度経済成長期の生活
高度経済成長期、国民の生活は急速に洋風化しました。電気冷蔵庫・電気洗濯機・白黒テレビの「三種の神器」が、続いて自家用車(カー)・クーラー・カラーテレビの「3C」が急速に普及してい きました。 大量に流されるテレビCMや、大量生産・大量消費に適したスーパーマーケットのような小売り店の増加により、国民生活は画一化していきます。
東京オリンピックと大阪万博
1940年に開催予定だった東京五輪は、日中戦争の激化で中止となっていました。1964年の東京オリンピック・パラリンピックは、戦後の復興の象徴となります。五輪に先立ち、東海道新幹線などの交通インフラも整備されました。また、1970年の日本万国博覧会(大阪万博)も、日本の復興を世界にアピールしました。
高度経済成長の終焉
1973年、第四次中東戦争の影響で石油の価格が高騰する第一次石油危機が起き、高度経済成長期は終わりを告げました。その後、日本企業はコストの削減に成功し、輸出を伸ばし安定成長期に入ります。 しかし、欧米諸国との貿易摩擦が深刻になったため、1985年のプラザ合意によって、為替が円高に誘導されることになりました。そして円高不況に突入します。