2023年6月2日(金)~2023年6月15日(木)ソニーイメージングギャラリー銀座
ソニーイメージングギャラリー銀座にて、山中南実 写真展 「andante」が開催されている。
本展「andante」は、「日常生活における自然現象の存在や仕組み」をテーマに作品を制作している新進作家の山中氏が、身の回りの事物を被写体としてコンスタントにスナップショットを撮り続けたシリーズ。主な被写体は拠点とする東京のランドスケープや草木などの自然、山中氏自身の身近な人物など幅広く、つかみどころがない。一方、日常のなかで気に留めることがない太陽の動きや、季節の移ろいといった、あたりまえに存在している自然のあり方に着目することで、地球の仕組みや成り立ちともいえる変化を捉えている。また、これまでに同タイトルでこまめに発表された作品が一同に介し、大判サイズに引き伸ばされたプリントなど見応えのある作品が並ぶ。会期は、2023年6月2日(金)~2023年6月15日(木)まで。
いま肌で感じることのできる風とこれから吹く風は違ったもので、明日見る草木は今日よりも少し変化しているだろう。外形が似ていても、この瞬間と同一のものにはもう触れることができない。日々移ろいゆく事象に目を向け写真におさめることで少しでもつなぎとめておけるだろうか。
せわしない日々を送るなかで、わたしたちの生の感覚は徐々に希薄になっていく。鈍くなりかけたままある種の切実さをもって撮影を重ねていたが、数年間続けることで見えてきたのは、太陽の動きや自然の移ろいといった身近な事象はどんなときも変わらず存在し続けていることだった。朝になれば日が昇り、陽に当たればあたたかい。大きく息を吸い込むことで花から葉になるときの青さを感じることができる。身近にあるけれど見落としてしまいがちなこれらを見つめることによって、生の感覚との距離も縮まっていく。わたしたちを取り巻く大きな自然の力、地球の輪郭はすべてがそこに確かさをもってただ存在している。わずかに移ろいゆく変わらないものたちへ瞬間的に反応し写真に収めていく。タイトルの「andante」は”歩くくらいの速さで”という意味の音楽用語である。
−作品内ステートメントより
<展覧会情報>
山中南実 写真展 「andante」
会期:2023年6月2日(金)~2023年6月15日(木)
時間:11:00~18:00(会期中無休)
出展作家名:山中南実
会場:ソニーイメージングギャラリー銀座
住所:〒104-0061 東京都中央区銀座5-8-1 銀座プレイス6階 東京メトロ銀座駅A4出口直結
<作家プロフィール>
山中南実 / Minami Yamanaka
写真家。1997年東京生まれ。2019年日本写真芸術専門学校卒業。2021年春にオープンした自主ギャラリー「Koma gallery」の設立メンバー。Alt_Mediumでの「andante」(2019)や、Koma galleryで定期的に個展を開催。「日常生活における自然現象の存在や仕組み」をテーマに写真作品を制作している。主な作品に、土地そのものがもつ自然のあり方と人々の営みに着目した「今日の花を摘む」、数千万年という時間をかけて石が変化していく道筋を辿り自然と人の時間を見つめる「地球のかけら」などがある。