カッコいいスナップ写真の撮り方
第6回

街で見かけた植物や花を印象的に切り取るには

今や誰もがカメラを手にして、日々の記録を写真として残す時代になりました。スナップ写真と呼ばれるジャンルは、目の前の景色、日常を残すという意味では、私たちが最も親しんでいるジャンルかもしれません。

カッコいいスナップ写真の撮り方」では、日頃私たちが撮っているスナップ写真をよりカッコいい作品へと高めていくための秘訣を伝授。著者の野寺治孝さんによれば、「カッコいいスナップ写真」とは「独自の視点」「写真的感性」「空気感の表現」「個性的に撮る」という4つのポイントを押さえた写真としています。自分なりの工夫や視点を持ち、機材やテクニックに頼らず、それでいて場の空気をしっかり捉えることであり、本書ではそれを実践するための考え方について、様々な作例を使って説明します。

本記事ではChapter5「花・植物」より、「星座のようなキンモクセイ」を例とした撮り方、考え方について抜粋して解説します。

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カッコいいスナップ写真の撮り方

花・植物

スナップ撮影では街や人物、光景などが被写体になることが多いと思いますが、時には花と植物にも目を向けてください。山や森などの大自然の中に行かなくても、街には花と植物はたくさんあります。

まずは花群や樹木全体を見て、そこから画角を徐々に狭めて花に寄っていくといいでしょう。この見方は花に限ったことではなく、どんな被写体にも言える基本なので覚えておきましょう。

絵作りとしては、まず「背景と調和させる」があります。いわゆる「引き」で絵作りした写真です。背景のどこに花を入れたら効果的でカッコいい構図になるかを考えましょう。

これに対して、花だけに特化させる「寄り」の写真があります。マクロレンズで花弁いっぱいに寄った写真などが典型例です。いずれにしても背景はシンプルにするのが基本です。

星座のようなキンモクセイ

何を表現したいのかによって絵作りも変わってくる。

DATA
埼玉県・川越市・南通町/午後3時頃
フルサイズ・デジタル⼀眼ミラーレス⼒メラ
24-105mm F4(67mm辺り)
1/1600秒 F5.6 絞り侵先AE -2 1/3補正 ISO800

撮り方&仕上げ方
ピントは画面中央辺りの花弁に合わせる。露出はアンダーにして背景の路上を黒くする。オーバー露出で撮ってしまうとレタッチしてもいい色にならないので注意する。花弁をどこまでフレーミングするのかを考慮する。レタッチでは青をやや上げる。コントラストを強めて花を浮かび上がらせる。

NOTE
川越の町を小雨の中散策した。キンモクセイの花弁が雨で散っていた。俯瞰で見たら、まるで夜空に輝く星座のように私には見えた。なので花弁に寄った写真は撮らなかった。このような被写体を見た時に、どのような表現をしたいのかによって絵作りも変わってくる。


カッコいいスナップ写真の撮り方

著者プロフィール

野寺治孝

野寺治孝(のでら はるたか)
1958年千葉県浦安市生まれ。
本郷高校デザイン科、にっかつTV映画芸術学院卒業。広告デザイン事務所、郵便配達員、牛乳販売業など職を転々とするが1984年にポストカードの自費制作販売を機にプロ写真家として活動を開始する。1991年に「有限会社スローハンド・野寺治孝写真事務所」を設立。多岐にわたる被写体を空気感とストーリーを感じさせる独自の作風で多くの作品を発表している。

ウェブサイト:http://www.nodera.jp/
Twitter:@noderaharutaka
Instagram:@harutaka1958nodera
Facebook:harutaka.nodera

<主な著書>

『個性あふれる”私らしい”写真を撮る方法』
『個性あふれる”私らしい”写真を撮る方法』

 

カッコいいスナップ写真の撮り方
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