ふだん写真は撮っているけれども、どうも納得できる写真が撮れない。そういう思いを抱く人は多いのではないでしょうか?写真家の大村祐里子さんは、フォトテクニックデジタルの連載「大村祐里子の身近なものの撮り方辞典」の中で、日常的な風景を独自の視点で見つめて写真作品をつくる方法を教えています。
「身近なものを作品にする」大村祐里子さんの撮り方辞典、第54回のテーマは「漁港」です。
「大村祐里子の身近なものの撮り方辞典」が書籍にまとまりました。本連載で取り扱ったテーマに加えて、新たに「クレーン」「炭酸」「排水溝」など合計100テーマを収録。日常の中で目にする、しかし被写体としてはあまり気に留めない様々なモノたちを記録する一つの視点を提案します。
撮影のポイント
1. 普段あまり注目されないものにフォーカスして撮ってみよう。
2. カラフルなものが多いロケーションだけに「色」や「鮮やかさ」を意識してみよう。
漁で使われる旗と、浮きが無造作に置いてありました。それらがとてもカラフルできれいだなと思いました。青空をバックにしたらより色が引き立つかなと考え、ローアングルから構えて、背景に空が来るようなアングルで撮影しました。
隠れた被写体がたくさん
漁港はいろいろなものに溢れており、撮っていて飽きない場所のひとつです。私は、網、旗、浮きなど、普段あまり注目されないようなものこそ、写真に撮ってみると実は面白い、ということが多いように思っています。どうしても、海や停泊している漁船、採れたての魚など、インパクトが大きくてわかりやすいものばかりに目がいってしまうのですが、漁港に行った時は、ぜひそれ以外のところに目を向けていただきたいです。フォトジェニックなものが隠れていますよ。
ビビッドな色を活かそう
漁港というと、色がなくて地味なイメージがありますが、実際の漁港はカラフルなものがたくさん存在しています。ゆえに漁港で撮影する際は「色」に注目し、場合によっては彩度を高めの設定にすると、印象的な写真に仕上がります。カラフルな被写体というと、ブイや浮きや網などはその最たる例です。赤やピンク、オレンジや緑などビビッドな色のものが多く、青い空をバックに撮ってみると非常にきれいです。また、海のそばなので、夕焼けのオレンジも美しく撮れますね!
のどかな漁港の風景です。海に景色が反射してシンメトリーになっているのが良いなと思い、シャッターを切りました。
ピンクとオレンジの浮きのアップです。色を強調したかったので、思い切ってフレーム内に浮きがギッシリと配置されるように寄ってみました。
夕暮れ時の漁港です。露出はあえてアンダーにして、船のシルエットを際立たせ、センチメンタルな空気を醸し出してみました。