イラストレーションで人物を表現する際には、描き込むところや省略するところの取捨選択、デフォルメと写実のバランスを考える必要があるでしょう。とりわけ「美少女」のイラストを制作する場合は、デフォルメの中に写実的な要素を加えて描写することで、女性らしいセクシーさを表現できます。体の一部をあえて写実的に描写し、肉体の質感を表現するには、強調したい部位の「肌」をいかにリアルに塗り込むかがポイントです。
「美少女イラストのリアルな肌の塗り方」では、女性キャラクターの表現について「どこに注意したらリアルに見えるのか」を切り口とし、各パーツの描き方、そして塗り方を詳細に解説。体の各部位が持つ特徴を示しつつ、表情やポーズの作例も複数パターン用意しています。
本記事では、「3.上半身の塗り方」より、動作によって様々な表現をするのに重要なパーツである「腕」(と肘)に関する記述を抜粋してご紹介します。
手・指の塗り方を知ろう
女性の細かい仕草や感情を表現するのに使われる手は、多くの関節が集まっているため、自由自在に形を変えることができます。その反面、皮膚が伸び縮みすることでシワや影が多くできるパーツだともいえます。
手・指の基本を知る
まずは、手の大まかな形を覚える必要があります。一般女性の手を描く場合は、手のひらと指の比率を1:1 で描いていくとバランスの取れた手になります。
ワンポイント
4本の指先は、中指を頂点とした扇型になっています。指の関節も同様に扇型に位置していますので、そこを意識して描くことで、アンバランスな手になるのを防ぐことができます。
手のひらと手の甲
手・指は関節の数が多いため、影の入り方は複雑です。全体的に影は曲線で描き込むことで、女性らしい柔らかい肌感を出しつつ、硬い関節部分の影にはメリハリをつけることで、よりリアルな手を描くことができます。女性の手は男性より筋肉が少ない分、スマートであっさりしています。手のひらも同様に筋肉による影が少なくなっています。
手のひら
女性の手は男性より筋肉が少ない分、スマートであっさりしています。手のひらも同様に筋肉による影が少なくなっています。
親指から伸びる筋肉
親指を動かしている筋肉は、手の内側へ伸びているため、親指の動きに合わせてシワを生じさせます。手首を曲げるときには、腕のスジが盛り上がり、影が生まれます。
手の甲
手の甲は骨や血管などにより縦方向の影が入ります。ただし、影を入れすぎると年齢が高い人の手になりやすいので注意しましょう。
指の関節
指全体は細身でスラッとしていますが、唯一関節部分は、骨の関係で若干ふくらんでいます。
中手骨
手のひらと指をつなぐ箇所にある中手骨によって山ができています。
ワンポイント
指は曲がる関節の多いパーツです。さらに第一関節は柔らかく反ることで、かなり外側にも曲げることができます。
様々なポーズによる手の描き方
怒ったときに思わず握りこぶしを作るように、感情の高ぶりによって手にその感情が表れることがあります。手のポーズをより多く覚えることで、キャラクターの内面を表現できる幅が広がります。
差し出す手
握手を求めるようにこちらの方向へ差し出された手。このように女性の手でも、少し角張った感じで描くことで、緊張感や圧迫感を出すことができます。
強く握った手
ぐっと力を入れて握ったとき、丸めた指に肉が凝縮されるため、シワができます。シワと合わせて立体感が出るよう影を描き込みましょう。
爪の表現
爪は省略してしまうケースが多いパーツですが、マニキュアなどを塗ることでキャラクターのイメージ作りに有効なパーツでもあります。
爪は肌のように柔らかくなく、硬くて金属に近い光沢を持っています。
爪の先は白くなっており、それ以外の部分は裏の肌色が透けているため、薄いピンク色になっています。
ワンポイント
赤や黒など色鮮やかなマニキュアやラメなど爪のデコレーション方法は様々です。人を興奮させる色である「赤」は魅力的な女性に、「黒」はミステリアスな女性にピッタリです。清楚な女性なら、ラメを入れてアクセントをつけてあげるとよいでしょう。また、マニキュアやラメを入れると光沢はよりくっきりと表れるので、意識して描き込みましょう。
手のひらの塗り方
STEP1
ラフを描いて、年齢などの設定を踏まえて形を整えていきます。
STEP2
線画をおこし、ベタ塗りをします。
STEP3
手は凹凸が多いパーツです。凹んだ部分やくびれ部分に影を入れ、手の凹凸を表現します。
STEP4
深いシワや影が濃い箇所を重ねて塗り、ハイライトを入れたら完成です。途中でわからなくなったら自分の手でポーズをとって確認しながら進めましょう。