三脚&ストロボ&フィルター[買い方・使い方]完全ガイドブック
第3回

内蔵ストロボでは難しい、外付けストロボならではの「光」描写

写真を撮る、とは「被写体を記録する」と同時に、「光を写しとる」行為でもあります。カメラは写真を撮るための道具ですが、その原理上、単体では不可能か、あるいはきわめて難しい写真表現も存在します。

三脚、ストロボ、フィルターという機材は、それぞれカメラを固定する、光を発する、光の質を変えるという単機能を持ちながらも、それぞれをうまく使うことで、写真のクオリティを大きく上げられる奥の深い機材です。

三脚&ストロボ&フィルター[買い方・使い方]完全ガイドブック」は、これらの機材に関する基礎知識に加えて、機材の選び方、具体的な活用方法、プロカメラマンが実際に使っているテクニックまでを余すところなくカバーしている一冊です。

本記事では、外付けストロボを使うことで可能になる光の表現について解説します。

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外付けストロボでできること

外付けストロボを利用することで、写真表現の幅はどのように広がるのでしょうか。まずは外付けストロボの魅力と、内蔵ストロボとの具体的な違いについて見ていきます。

外付けストロボで光の描写を極める

写真は目の前の被写体を記録するものですが、これは一方で、光を写し取る行為でもあります。なぜならば、照射される光の内容によって、同じ被写体を撮っても、写真の仕上がりは大きく変わっていくからです。この際、演出できる光の選択肢が多いほど、おのずと写真表現の幅は広がります。

この“光の選択肢”を増やす際、決定的な役割を果たすアイテムがストロボです。もっとも身近な光は自然光ですが、ストロボは好みの光質を自ら作り出すことができます。特にこのパートで取り上げる外付けストロボは、機能性や操作性を正しく理解することで、演出できる光の種類が大幅に広がります。気軽に内蔵ストロボを用いる方法もありますが、ここで述べているように、外付けストロボを使うメリットは非常に大きなものです。光の描写に外付けストロボは欠かせないアイテムと言えます。

1. 大光量で遠くまで撮れる

外付けストロボの最大の魅力は、内蔵ストロボよりも大光量で光が照射できることでしょう。例えば、遠くにいる被写体でも、望遠レンズで大きく引き寄せながら、ストロボを照射して明るく写すことができます。絞り込んだり、ISO感度を低くして撮りたい場面などでも活用できます。

内蔵ストロボ

外付けストロボ

88mm相当の望遠で、F8、1/125秒、ISO100でシャッターを切りました。外付けストロボは光量十分ですが、内蔵ストロボでは光が被写体に届いていません。

2. 光量を微調整できる

内蔵ストロボでもストロボの光量を変更できますが、外付けストロボを使うと光量が大きい分、微調整できる幅も広がり、シーンに応じた光量調整が行いやすくなります。また、ストロボ本体から光量の調整が可能なので、直感的な操作で好みの光量が割り出せます。

補正なし

補正あり

外付けストロボを被写体に向け、TTLオートで撮影。ここではISO100で絞りをF8まで絞り、100mm相当の望遠で撮っていますが、大光量の外付けストロボであれば、調整幅を気にせず撮影に臨めます。

3. 照射位置を調整できる

外付けストロボは、カメラから離してワイヤレス発光できることも大きな特徴です。通常、カメラに取り付けた状態(オンストロボ)では、正面からしか発光できませんが、ワイヤレス発光に対応することで、ライティングを変えながら画づくりが行えます。さらには、複数のストロボでライティングすることも可能になります。

オンストロボで発光

ワイヤレスで発光

ワイヤレス発光した右作例では、ストロボを真上から被写体に向けて照射。真下に影ができ、印象的な仕上がりです。このような描写は、オンストロボでは行えません。

4. 発光間隔を短くできる

ここでの発光間隔とは、一度発光したストロボが次の発光までにかかる時間を指します。外付けストロボは発光間隔が短いため、連続撮影しながらでもストロボが同調しやすくなります。また通常、発光間隔はストロボの発光量が大きいほど長くなりますが、外付けストロボに関しては、大光量でも発光間隔が短くできます。チャージの遅さで、ストレスを感じなくて済むわけです。

連写しながら外付けストロボを発光しました。チャージに時間がかからないため、このような連続撮影中でもストロボを発光できます。なお、一般的な外付けストロボの発光間隔は発光量に応じて0.1秒~3秒程度です。バッテリーパックを使うとさらに短くできます。

5. 光質を変えやすい

外付けストロボは、利用できるアクセサリーが充実しているのも大きな魅力。オンストロボで利用できるアクセサリーもあれば、ワイヤレス発光で利用できるアクセサリーもあります。これらを取り付けることで、光の硬さや広がり方などを、自分の表現に合わせて調整できます。

直接発光

アンブレラ

いずれも左前方からのワイヤレス発光です。ダイレクトに照射した左作例は、光が硬く、濃い影ができています。対して、アンブレラにストロボを反射させた右作例は、影もなく、やわらかい仕上がりです。

 


<技術評論社の本>

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