ポートレートは専門の写真家がいるほど確立されたジャンルです。カメラを持った人なら一度は撮ってみたいと思ったことがあるのではないでしょうか。
ただ、ポートレート撮影には「モデル」の存在が必須。モデルさんのスケジュールや撮影場所を決めるなど、撮影を始めるまでに多くの段取りが存在します。
そこをヒラリと乗り越えたのが、女性セルフポートレート写真家のRinatyさん。初の著書「#セルフポートレートの裏側 撮影もモデルも全部わたし。」は、自身をモデルとして撮影するセルフポートレートの撮り方、そして撮影の裏側を公開した一冊です。セルフポートレートは、自分がモデルで自分がフォトグラファー。誰もがチャレンジできるジャンルです。
コンセプトは「わたしだけの世界観で、そこに写ったわたしなら好きになれる」。
自分の新たな一面を発見でき、自分のことをもっと好きになれるセルフポートレート作品50点の中から、8点の作品を紹介。第3回は雪や氷の景色の中で撮るセルフポートレートです。
ダイナミックな広角撮影はリボンで視線を誘導
Point 1 スタイリングを変える
立山の撮影では5作品を撮影しました。他のポートレート作品と同じ衣装を使用しているため、なるべく印象を変える工夫をしました。この作品を撮る前の日には、アイメイクを水色にしていたましたが、この日はブラウン系のアイシャドウを使用。さらにウィッグは使用せず、アクセサリーを変えて元々ドレスを購入した時についていたリボンを首に巻きました。
Point 2 ダイナミックな構図を狙う
1年前に、同じ位置で今回の衣装に近い色味のものを着用して撮影していたため、被らない構図を狙いました。超広角ズームレンズを使用し、首に巻いていたリボンを三脚の雲台に結びました。首が締まらないよう注意しながらリボンを引っ張り、被写体への視線誘導として活用。さらに動きのある作品にするために、シャッターが切れるタイミングに合わせてドレスの裾をなびかせました。
Point 3 妥協せずに撮影
撮影時は風が非常に強く、リボンやドレスのコントロールが難しい状況でした。さらに朝方は雪が硬くなり、足場は滑りやすかったです。その上、ソフトボックスの角度が風によって変わってしまうことも多々ありました。それでも妥協せず、何度も何度もシャッターを切り続け、納得できるまで撮影しました。
【撮影の裏側エピソード】立山での過酷な撮影
3日間に及んだ立山の撮影ですが、山小屋での過ごし方も過酷でした。夜9時になると暖房機器の使用が止められてしまうため、ヒートテックを着込んでの仮眠。極寒での撮影では、かじかんだ手で機材を触っていたため、手がかなり荒れました。やはり疲労がたまったのか、下山後にマッサージに行くと「こんなに凝ってる人は久しぶり!」と驚かれました。その分、自信をもって見ていただける作品が撮れたと思います。