ニコン純正の画像管理/編集ソフト「NX Studio」は、ニコン製デジタルカメラで撮影した写真の本格的な現像および画質調整が可能な多機能ソフトウェアです。静止画のみならず動画の管理機能も備えている上、プリント機能を使って作品プリントを作ることもできます。
「ニコンNX Studio 色調補正ガイド」では、NX Studioを使った写真の色調補正テクニックを幅広く解説。写真を色調補正してデータを仕上げることを念頭に、基本的な機能紹介から具体的な調整方法、調整のたたき台となるおすすめの設定まで詳細に説明しています。市販ソフトのハウツー本は数あれど、本書は無償ソフトウェアである「NX Studio」を扱っており、特に「ピクチャーコントロール」機能についての解説を含むガイドは珍しいのではないでしょうか。
本記事ではChapter3「色調補正を極めよう」より、ノイズリダクション機能の上手な使い方について解説します。
ザラつきが気になるときは「ノイズリダクション」で軽減する
グレーのザラつきや、色の付いたまだらな斑点が目立つときは、「ディテール」パネルにある「ノイズリダクション」で軽減することができる。処理方法としてRAW形式専用の「高画質2013」と、RAWとJPEG形式の両方で使える「高速」および「高画質」設定が選択できるが、繊細な画質を維持するためにも「できるだけ高品位」な設定で処理したい。
RAWとJPEG形式で使える「高速」「高画質」設定
「ノイズリダクション」機能は、「処理方法」の項目で「高速」「高画質」「高画質2013」の３タイプから選択できる。「高速」は処理が速い代わりに画質はほどほどで、「高画質2013」がもっとも高画質な設定。「ノイズリダクション」は微細な模様がつぶれやすいため、処理に多少の時間がかかっても高品位な設定で作業したい。
使い方は「高速」「高画質」と「高画質2013」で異なり、前二者は「適用量」と「シャープネス」の2本のスライダーで調整するタイプ。シンプルに操作できる点が特徴だ。後者は「輝度」と「カラー」のノイズを分けて処理できるため、画質が維持しやすい。ここではJPEG形式を使い、「高画質」設定を例に機能を紹介しよう。
❶「ノイズリダクション」をチェックすると機能がオンになる。簡単に補正するときは、❷「高速」か「高画質」設定を選択。右は調整前の星空の写真とその拡大部分
「適用量」機能でノイズを軽減する
ノイズを軽減する強さを調整。数値を大きくするほどノイズが少なくなるが、繊細な模様（星の光）もノイズとともに消えてしまう。作例の場合は、ノイズが目立たなくなり、細部の劣化が顕著にならない「25」程度の設定が適量
「シャープネス」機能で画質を調整する
「適用量：50」の設定で調整。この機能は「適用量」を決めた後に使用すること。数値が小さいとノイズ軽減の効果が最大に適用され、大きいとシャープになる代わりにノイズも目立ってくる。作例は「6」の設定がバランスがよい感じ
RAW形式をデリケートに仕上げる「高画質2013」
RAW形式のノイズ処理は、「処理方法」を「高画質2013」に設定すると高品位な画質が維持しやすい。
この機能の特徴はノイズを「輝度」と「カラー」に分けて処理できる点。その結果、色が濁る「カラー」ノイズは完全に消して、解像感に影響する「輝度」ノイズは少し残しておく、という柔軟な処理が施せるようになる。調整項目は増えるが、「シャープネス」スライダーは初期値のままにして、「輝度」「カラー」ともに「適用量」スライダーを操作するだけでも十分に効果的だ。
❶を「高画質2013」に設定すると、❷「輝度」と、❸「カラー」の項目が表示される。それぞれに「適用量」と「シャープ」スライダーを搭載
「輝度」の「適用量」機能を調整
グレーのザラつきを軽減するノイズ軽減の中心的機能。効果を強くするとザラザラとした質感が軽減する代わりに、解像感や濃淡差の乏しいフラットな描写に近付く。ノイズを消し過ぎず、解像感とのバランスが取れた設定（作例は「50」から「75」程度）を探すと画質を劣化させずに済む
「輝度」の「シャープネス」機能を調整
「適用量」を「50」にして調整。輝度ノイズ軽減後のシャープさを調整する機能で、数値が大きいほどシャープになるがノイズも表面化する。初期値の「50」がバランスの取れた設定なのでこのままでもOK。甘めの描写の「33」からシャープさの出る「66」程度（作例の場合）が調整の目安
「カラー」の「適用量」機能を調整
「輝度」の「適用量」と「シャープネス」を「50」に設定して調整。色の付いた斑点を軽減する機能。画質にはほとんど影響しないので、色ムラを感じない設定にすればOK。ただし、微細な色の滲みなども取り除かれるため、星空のように「微かな色味」が大切な場合はその点に注意しよう
