自分の作品や自社の商品を紹介する手段のひとつとしてSNSを使う手法は定着して久しく、さりとてこれを自分でやってみると、意外と思ったようにはいかないものです。写真をはじめとしたビジュアルの組み合わせによって作品やブランドの持つ世界観を表現する基本は今も昔も変わりませんが、そのノウハウは日々進化しています。
「Instagram あたらしい商品写真のレシピ」では、Instagramの特性と他SNSとの比較や、カタログとして機能させるための具体例、掲載写真の作例まで、一般ユーザーから一歩踏み込んだ、作り手による情報発信の視点で役立つ実用的なノウハウを幅広く紹介しています。執筆を担当しているのは、インスタグラムをはじめ活躍の場を広げているフォトグラファー/インスタグラマーの綾さん、古性のちさん、6151さん、新田知沙さん、中野晴代さん。
本記事ではStep1「ビジュアルの発信ツール インスタグラムを理解しよう」より、主要SNSの特徴と、インスタグラムならではの強みについて解説します。
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ストック型メディアとしての強み
昨今、インスタグラム・ツイッター・フェイスブックの3大SNSと呼ばれるメディアは、機能面や利用するユーザー層が拡大しています。ユーザーは何となく使うのではなく、それぞれの持ち味や強みを生かした活用について考える必要があります。ここでは、ツイッター・フェイスブックと比較しながら、インスタグラムのメディアとしての強みについて考えてみましょう。
他のSNSとの違い
インスタグラム
写真の投稿に特化しているビジュアル重視のツール。動画を投稿することも可能。検索用のキーワード「ハッシュタグ(#)」は、ユーザー同士で写真を検索し合うために活用できる。過去に投稿した写真はプロフィール画面に蓄積され、アルバムのように閲覧できる。
ツイッター
140字以内の短い文章で、伝えたいことをシンプルに表現できる。その場で感じたこと、考えたことなどをリアルタイムで発信できるのが魅力。気になるアカウントをフォローすると、時系列で自分のタイムライン上にフォローしたアカウントのツイートが流れるしくみ。
フェイスブック
世界で登録ユーザー数がもっとも多いメディア。ユーザーがプロフィールを登録すると、ユーザー同士でグループをつくることができる。共感した投稿やコメントに対して、「いいね!」ボタンを押すコミュニケーション機能も大きな特徴のひとつ。
インスタグラムの強み
幅広い年齢層に向けて商品をリーチできる。
インスタグラムはいまや10~20代だけでなく、40~50代にも広がり、幅広い年齢層が利用している。
商品の魅力をビジュアル(写真)で伝えることができる。
インスタグラムは写真を主体にしたメディアなので、衣料品や食べ物などの魅力をより効果的に発信できる。
過去に投稿した写真がアルバムのようにストックされる。
フォロワーに過去の投稿写真をまとめて見てもらえる。
投稿した写真をきっかけに仕事のチャンスが増える。
自分の個性や強みを写真で発信できるので、職業や肩書を問わずビジュアルで評価され、仕事につなげることができる。
こだわりが力になる
インスタグラムの一番の特徴は、美術館に絵を飾るように、自分の撮った写真をきれいに並べて保存できるところ。自分の好きなものや大切にしているもの(センス)をビジュアルで表現することができます。
リアルタイム発信に特化したツイッターやフェイスブックに対して、インスタグラムはストック型。投稿した写真はプロフィール画面にアルバムのように表示され、ファーストビューからストレスなく閲覧できます。そのため、過去の投稿写真をきっかけにフォロワー数が伸びる可能性もあるのです。
また、アカウントの世界観(コンセプト)を統一すれば、自分が見てほしいと考えるフォロワー層に、より効果的に伝えることも可能です。特に商品やブランドの魅力を発信する場合は、コンセプトに合ったイメージの写真を投稿するように意識してみましょう。
上は12枚の写真を1枚の画として表現するグリッド投稿。「旅」をテーマに、淡い色調で統一した写真で構成されている
@nocci_trip