「押せばそれなりに写る」のがデジタルカメラの良いところですが、自分なりの表現を突き詰めたいと考えたときには「それなり以上」の使いこなしが求められるもの。高性能化が進み「可能なこと」が増えた現行世代のデジタルカメラにおいては、把握すべき事柄も増え続けています。
プロカメラマン・河野鉄平さんによる「デジタル一眼カメラ 知っておきたい撮影の基礎知識200」では、デジタルカメラの仕組みや特性、各種機能の使いどころ、構図の作り方、光の捉え方などなど、カメラ、ひいては「写真」を理解する上で必要となる基礎的な知識を掲載。個々の項目は細かく区切られており、確認したい知識をすぐに参照できる工夫がなされています。
本記事では前回に引き続き、デジタルカメラの仕組みに関する基礎知識についての記述を掲載します。
デジタル一眼レフとミラーレス一眼は機能の中身が大きく違う
AF性能や高速連写機能にも注目
カメラ内にミラーが搭載されるか否かの変化は、前述以外にもさまざまな機能に影響を及ぼします。
ひとつはAF性能です。ミラーレス一眼のほうが選択できるフォーカスポイントが多く、瞳AFなどにも対応します。高速連写もミラーレス一眼の方が得意。1秒間に60枚撮れる機種もあります。一方、ピント合わせの素早さや精度は光学ファインダーを利用するデジタル一眼レフのほうが優位性が高いです。
シャッターボタンを押した際の「感覚」もこの2台では異なります。ミラーレス一眼のほうがタイムラグがあります。注意したいのがバッテリーの減り方。ミラーレス一眼の方が消耗が早く、長時間の撮影では予備のバッテリーが必要になります。
デジタル一眼レフとミラーレス一眼の特徴
デジタル一眼のエントリーモデル例
デジタル一眼レフ「キヤノン EOS Kiss X10i」
連写、AF性能に優れた高性能モデル。ファインダーで撮影したい人にぴったりです。
デジタル一眼レフ「ニコン D3500」
初心者にやさしいガイドモード付き。握りやすいグリップも特徴的です。
ミラーレス一眼「キヤノン EOS Kiss M」
高精細EVFを搭載したモデル。小型軽量で扱いやすくフォルムがかわいらしいのも魅力。
ミラーレス一眼「ソニー α6400」
高速・高精度の瞳AFを搭載するなど、エントリー機ながら高機能なのが特徴。
ミラーレス一眼「オリンパス OM-D E-M10 MarkIV」
気軽に持ち運べる薄型軽量モデル。デザインもスタイリッシュで、街中のスナップにぴったり。
ミラーレス一眼「富士フイルム X-T200」
直感的なパネル操作で動く被写体にもしっかり対応。かわいらしいボディも魅力です。
集中して撮影したい時はファインダーで撮ってみよう
周囲の余計なものを排除できる撮影スタイル
ファインダーを使った撮影は、集中して被写体と向き合えるのが最大の特徴です。ファインダーに映るものだけに意識を向けて撮影できます。構図をしっかり吟味したい場面でも有効です。
非常に明るい場所で撮影を行う場合もファインダー撮影が便利です。例えば晴天時の屋外は、ライブビューの映像が暗くて見えにくくなることがあります。こうした場面では、ファインダーからの撮影に切り替えることで、しっかり情景を確認できます。
また、光学ファインダーが利用できるデジタル一眼レフでは、ファインダー撮影が主流に。肉眼に近い見え方で被写体をとらえられることは、写真撮影の醍醐味です。光学ファインダーでバッテリーの消耗を抑えられることも大きなポイントです。
光学ファインダーを使わないライブビュー撮影
より仕上がりがイメージしやすいところも特徴的
ライブビューとは、レンズから取り込んだ映像を光学ファインダーを使わずに(ミラーに像を反社することなく)そのまま背面の液晶モニターやEVFに表示することです。ミラーレス一眼で採用されている機能ですが、デジタル一眼レフでもミラーを上げ続けることで、背面の液晶モニターを利用したライブビュー撮影が可能です。
ライブビュー撮影の魅力は、露出レベルやホワイトバランスなどのカメラ機能をモニターに反映しながら撮影できることにあります。特定部分を拡大表示してピント合わせをしたり、タッチシャッターなどにも対応するなど、さまざまな機能の併用も可能です。
背面の液晶モニターを使ったライブビュー撮影は、気軽に被写体と向き合える特徴があります。周囲の様子を意識しながら撮影したい場面でも有効です。ファインダー撮影とうまく併用してみましょう。