オールドレンズ・ライフ
第31回

Mマウントレンズ最広角 LAOWA FF II 9mm F5.6 W-Dreamerの実力を見る

かつてフィルムカメラで使われていた交換レンズは、現在においては「オールドレンズ」と呼ばれ広く親しまれています。

レンズは「写真うつり」の多くの部分を決める要素ですが、オールドレンズの世界においては、必ずしも画面のすみずみまではっきり、くっきり写ることだけが良しとされるわけでもありません。レトロな外観と個性的な写りも人気の一因です。

シリーズ10冊目となる「オールドレンズ・ライフ 2020-2021」では、現行のデジタルカメラで沈胴レンズを使う「沈胴レンズクロニクル」、あえてフレアやゴーストを発生させるレンズを使う「Flare Ghost Collection」などの特集を掲載。各レンズの特徴から装着前に押さえるべき注意点、実写作例など、レンズ沼のほとりに立つ人々の背中を押す内容となっています。

本記事では特集「Mマウントニューフェイス」より、「LAOWA FF II 9mm F5.6 W-Dreamer」の作例を紹介します。

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オールドレンズ・ライフ 2020-2021

Mマウント初の超広角9mmの世界

Leica M10 + LAOWA FF II 9mm F5.6 W-Dreamer 絞り優先AE F5.6 1/350秒 ISO200 AWB RAW 目の前にそびえる柱状節理を、いとも簡単に一画面に収めてしまった。画角もさることながら、パースペクティブが強烈だ。

本レンズの強みは、ライカ純正Mレンズにもない9ミリという圧倒的な画角。これまでMマウントの広角レンズは、フォクトレンダーのヘリアーハイパーワイド10ミリF5.6アスフェリカルがもっとも画角が広かった。ラオワ9ミリF5.6の登場により、記録が塗り替えられたわけだ。フォクトレンダーより1ミリだけ短くしたあたりに、ライバルとしてロックオンした気配を感じる。

このレンズでもっとも気になるのは周辺画質だろう。今回、ライカM10で撮影したところ、周辺部のマゼンタかぶりや像の流れは発生しなかった。9ミリという超ワイド画角を隅々までシャープに描く。

ピント合わせはちょっと工夫が必要だ。9ミリと画角が広いため、中遠距離だと被写体がとても小さくなる。ライブビューで拡大してもピントの芯で捉えているか怪しいことがあるのだ。

そこでレンジファインダーの二重像でピントを合わせる。ただし、ライカM10は9ミリのブライトフレームがないので、改めてライブビューで構図を決めるという撮り方をした。ひと手間かかるが、ジャスピンの9ミリの世界は圧巻だ。

際立ったスペックのレンズだが、鏡胴は意外とコンパクトにまとまっている。
一体型のフードを装備する。角型フィルターホルダーを別途用意すると言う。
魚眼レンズも物怖じしそうな強烈な曲率の前玉だ。さすが9ミリ、迫力がある。
ピントリングは距離計連動する0.7メートルにクリック感がある。最短は12センチだ。

オールドレンズ・ライフ 2020-2021

著者プロフィール

澤村 徹


(さわむら・てつ)
フリーライター・写真家

マウントアダプターを用いたオールドレンズ撮影、デジタルカメラのドレスアップ、デジタル赤外線写真など、ひと癖あるカメラホビーを提案している。2008年より写真家活動を開始し、デジタル赤外線撮影による作品を発表。玄光社「オールドレンズ・ライフ」の他、雑誌、書籍など数多く執筆。

書籍(玄光社):
オールドレンズ・ベストセレクション
オールドレンズ・ライフ 2017-2018
マウントアダプター解体新書
作品づくりが上達するRAW現像読本

ウェブサイト:Tetsu Sawamura official site
Twitter:@tetsu_sawamura

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