ニッポンぶらりカメラ旅
第2回

ぶらりカメラ旅とはどんな旅なのですか?

写真にハマっているアマチュアにとっては、「テーマはどんなものにすればよいか?」「撮影方法はどうすればよいか?」「上手に写真を撮るためには?」など、本気になればなるほど、堅く考えてしまうものです。そんな人達に写真家の丹野清志氏は、著書「ニッポンぶらりカメラ旅」の中で、肩ひじはらずにカメラを持ってふらっと旅をして、思いつくままに写真を撮ることを勧めています。「町から町へ、なりゆきまかせで移動していくと、いろいろな出会いがあり、出会いの一つ一つに心がふるえるのです。」と言います。
そんな心をふるわせる被写体に出会える旅はどうしたらできるのでしょうか?


本記事では、第1章「ぶらりカメラ旅入門」からのアドバイスをご紹介します。

ニッポンぶらりカメラ旅(丹野清志・著)

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旅のリズムをつかむ

「ぶらり」とは、たとえばひょうたんがぶらぶら揺れて定まらないような様子のことで、再び辞書を開くと『しまりのない態度で目的もなく行動するさま』とあります。
「ぶらつく」という意味はぶらぶらと歩き回ることであり、「ぶらりぶらり」は先を急がず行くさま。「ふらり」は思いがけないさま。
「カメラ旅」を付け加えて「ぶらりカメラ旅」ということになるのですが、〝しまりのない態度で目的もなく写真を撮る旅〞と辞書ふうに解釈すると、しっかりと大テーマを決めて撮る写真作法と比べたらなんとも頼りない印象で、迫力に欠けるかもしれません。しかし、ただあてもなくうろうろしているのではなく、写真を撮る旅なのですから、撮りたいシーンとの出会いの時を求めて歩いているのです。

ぶらりカメラ旅とは、「傑作」目指して撮るぞと意気込んで出かけるようなことではなく、こう撮らなければならないという撮り方をするのでもなく、写真のウデを上げたいと意気込んで撮るような写真でもありません。決められた構図のテーマにしばられず、日常のありふれた光景と出会い、ささやかなふれあいを素の気持ちで撮りながら気ままに移動していく旅です。
その移動スタイルが、ぶらり、ということなのです。それは単に歩き方の格好だけでなく、脳の回転もぶらり感覚でいきましょう、ということです。
さて、特別な目的もなく旅に出てぶらりと歩いて写真を撮りましょう、と言われたらどこを歩いて何を撮ればいいのですか? と戸惑う人がいるかもしれません。でも、それに対しての答えはないのです。旅をして何が見えてくるのか、わからないから歩くのです。ぶらりカメラ旅の撮り方は、被写体が教えてくれるのです。
旅を何度か繰り返していくと、旅をする人それぞれの歩き方、撮り方の動きにリズムが出てきます。ぶらりカメラ旅とは、そのリズムにのって写真を撮る旅です。自分の旅のリズムがつかめたら、旅が楽しくなります。写真が面白くなります。

<玄光社の本>


ニッポンぶらりカメラ旅

著者プロフィール

丹野 清志

(たんの・きよし)

1944年生まれ。東京写真短期大学卒。写真家。エッセイスト。1960年代より日本列島各地へ旅を続け、雑誌、単行本、写真集で発表している。写真展「死に絶える都市」「炭鉱(ヤマ)へのまなざし常磐炭鉱と美術」展参加「地方都市」「1963炭鉱住宅」「東京1969-1990」「1963年夏小野田炭鉱」「1983余目の四季」。

主な写真集、著書
「村の記憶」「ササニシキヤング」「カラシの木」「日本列島ひと紀行」(技術と人間)
「おれたちのカントリーライフ」(草風館)
「路地の向こうに」「1969-1993東京・日本」(ナツメ社)
「農村から」(創森社)
「日本列島写真旅」(ラトルズ)
「1963炭鉱住宅」「1978庄内平野」(グラフィカ)
「五感で味わう野菜」「伝統野菜で旬を食べる」(毎日新聞社)
「海風が良い野菜を育てる」(彩流社)
「海の記憶 70年代、日本の海」(緑風出版)
「リンゴを食べる教科書」(ナツメ社)など。

写真関係書
「シャッターチャンスはほろ酔い気分」「散歩写真入門」(ナツメ社)など多数。

著書(玄光社)
町撮りアート写真ブック
ニッポンぶらりカメラ旅
お気に入りカメラで楽しむ自分流町歩き写真の方法
写真集のつくり方
写真教室では教えない“新スナップ写真”の方法
誰も教えなかった “自分流写真”の方法
[四季を味わう]ニッポンの野菜


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