赤城写真機診療所 MarkII
第5回

カメラ科:二眼レフカメラの魅力とは?

赤城写真機診療所 MarkII」では、カメラや撮影にまつわる悩みや迷いを「疾患」に見立て、「撮影科」「カメラ科」「レンズ科」「婦人科」それぞれのカテゴリーで、質問を「症状」、回答を「診察」としてカメラや写真、撮影時の疑問に答えています。

「診察」と銘打ってはいますが、要は著者によるお悩み相談。「カメラあるあるネタ」に対する著者の見解を楽しむ一冊となっています。

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「赤城写真機診療所 MarkII」

本記事では「カメラ科」における診察内容の1つをお届けします。

 

二眼レフカメラの良さがわかりません。ただの古臭いカメラではないのですか。

こういう患者さんには、正直すぐにお引き取りいただきたいものである。無知というのは恐ろしいものである。現在、私の手元で活躍中の二眼レフは1ダースではきかないだろう。メインはローライフレックス3.5Fだが、2.8Fや、ワイド、テレといった機種の用意もある。一時はダイアン・アーバスになることを目指していたので、レンズ交換可能なマミヤC330プロフェッショナルfの用意もある。

二眼レフを使う大きな理由は、前面から見たとき、レンズがふたつ縦に並ぶさまが美しいからである。これだけで般若湯なら1合、ハイボールなら1杯は飲める。ミラーが駆動しないのでシャッター音が小さく、ブレの不安は軽減される。ポートレート撮影などでは相手に威圧感を感じさせない。シャッターを切った瞬間もブラックアウトがない。中判一眼レフよりもおおむね小型軽量なので携行性に優れる。

前述のマミヤCシリーズを除けばレンズ交換ができないから、そこに潔さがある。ビューレンズとテイクレンズの位置が離れているので、機構的にパララックスが生じてしまうのはやむを得ない。至近距離になればなるほど当然パララックスは増大するので最短撮影距離は1メートル程度である。視野率もそう高くはない。被写界深度の確認ではできないなどの数々の欠点はあれど、これらはでき上がった写真を予想して、あらかじめ撮影前に撮影者が対処するのである。

つまり、上記のことは二眼レフユーザーであれば欠点などとは呼ばないのである。「なんていい加減な」という声が聞こえてきそうだが、はい、イイカゲンです。何か問題あります?

おそらく二眼レフこそが「わかるヤツにわかればいい」という典型的なカメラであり、体に合うか合わないかを問われるカメラである。自分の体をただ通り過ぎるだけのつまらないデジタルカメラと二眼レフを一緒にしてはいかんな。はい患者さんがお帰りですよ。

Mamiya C330

 

 イラスト:大村祐里子



赤城写真機診療所 MarkII

著者プロフィール

赤城 耕一


(あかぎ・こういち)

1961年、東京生まれ。東京工芸大学短期大学写真技術科卒業。出版社を経てフリーに。雑誌、コマーシャル、企業PR誌などで人物撮影を主に担当する傍ら、戦前ライカから最新のデジタルカメラまでレビューも行うカメラ好き。カメラ雑誌、書籍など執筆多数。
「銀塩カメラ放蕩記(アサヒカメラ)」「ボケてもキレても(月刊カメラマン)」連載中。

書籍(玄光社):
中古カメラはこう買いなさい!
ズームレンズは捨てなさい!

Twitter:@summar2
ブログ:赤城耕一写真日録

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