大村祐里子の身近なものの撮り方辞典
第21回

非日常の光に照らされた「くらげ」の写真は、広角とマクロで雰囲気の違いを楽しもう

「身近なものを作品にする」大村祐里子さんの撮り方辞典、第21回のテーマは「くらげ」。

大村祐里子の身近なものの撮り方辞典」が書籍にまとまりました。本連載で取り扱ったテーマに加えて、新たに「クレーン」「炭酸」「排水溝」など合計100テーマを収録。日常の中で目にする、しかし被写体としてはあまり気に留めない様々なモノたちを記録する一つの視点を提案します。

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身近なものの撮り方辞典

撮影のポイント

1. くらげだけでなく、水槽のライティングや水の色などもしっかり活かして撮るとよい。
2. 水族館のくらげ撮影には広角レンズとマクロレンズが欲しい。

キヤノンEOS 5D Mark III Carl Zeiss Makro-Planar T* 2/50 ZE f5 1/250秒 ISO1600 中央重点平均測光 WB: マニュアル RAW

青い光に照らされ、長い触手をゆっくりと動かしながら流れに身を任せるくらげが幻想的だったので撮影しました。あらかじめ、光がバランスよく収まりそうなポジションでカメラを構えておき、くらげがその位置にきた瞬間にシャッターを切りました。くらげの撮影は忍耐が重要です。

水族館では広い視点で捉えるとよい

くらげは海でも見ることができますが、落ち着いて撮影できるのは水族館です。水族館でくらげを撮影する場合は、くらげそのものだけではなく、水槽のライティングの光や色も含めて、全体的な視点で捉えると面白いものが撮れます。青以外の光で演出されたくらげも積極的に狙っていきましょう。また、くらげの種類によっては触手が長く、ひらひらと変幻自在に動くものがあるので、フレームの中で触手がバランスよく配置された瞬間にシャッターを切ってみましょう。

広角&マクロレンズはマストアイテム

私は水族館にくらげの撮影に行く場合、必ず広角レンズとマクロレンズを持って行きます。なぜなら、引きと寄りを使い分けると、雰囲気の違った写真が撮れるからです。広角レンズでくらげの水槽全体を切り取ると、変わった構図で遊ぶことができますし、マクロレンズを使って思いっきり寄ると、肉眼で見たものとは違った世界を収めることができ新鮮です。また、くらげは常に動いているので、一発で狙うより、連写した方が打率は高くなると思います。

ソニーα7R II トキナー Tokina FiRIN 20mm F2 FE AF f2 1/50秒 ISO800 マルチ測光 WB: マニュアル RAW

たくさん集まっている透明なくらげが、ライトに照らされて白く光る様子がいいなと思ったのでシャッターを切りました。白い丸が多く集まっている様子を描きたかったので、20mmという広角レンズで広めに切り取っています。

キヤノンEOS 5D Mark III Carl Zeiss Makro-Planar T* 2/50 ZE f4 1/125秒 ISO1600 中央重点平均測光 WB: マニュアル RAW

淡いグリーン色をした水槽に、黄色っぽい色のくらげが泳いでいて、その対比に惹かれました。コントラストの高いギラギラした感じではなく、淡くやさしい感じだったので、その雰囲気を活かしました。くらげの水槽は、暗い水槽のなかを強めの光でライティングされていることが多いのですが、そうではない水槽を覗いてみるのも面白いですヨ。

OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PRO f1.4 1/1600秒 ISO1600 324分割デジタルESP測光 WB: マニュアル RAW

水槽ではなく、試験管のようなものに入ったくらげを撮影しました。中の水も満タンではなく、まるで何かの実験に使われるような空気感でした。その感じを撮りたかったので、ある程度状況がわかるアングルを選びました。


身近なものの撮り方辞典

著者プロフィール

大村 祐里子


(おおむら・ゆりこ)

1983年東京都生まれ
ハーベストタイム所属。雑誌、書籍、俳優、タレント、アーティスト写真の撮影など、さまざまなジャンルで活動中。著書「フィルムカメラ・スタートブック」、「身近なものの撮り方辞典100

ウェブサイト:YURIKO OMURA
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