デジタルカメラやスマートフォンの性能が上がり、シャッターを押せば誰でもカンタンに美しい写真が撮れるようになった。しかし、「ワンランク上の写真を撮りたい、もっとレベルアップしたい」という人も多いだろう。萩原ブラザーズこと、風景写真家の萩原史郎氏と萩原俊哉氏は、共著の「風景写真の便利帳」で自然風景撮影にかかわるさまざまなノウハウを紹介している。
本記事では「撮影編」の「構図」より、画面周辺部の処理方法についての解説を紹介する。
CHECK POINT!!
- 四辺四隅に気を配ること
- 内容に無関係な要素は四辺四隅からカット
- 四辺四隅が整っていると写真は美しい
さまざまな構図法がある。三分割法、日の丸構図、対角線構図、覗き見構図、S字構図…。どの構図法であっても、画面の四辺や四隅への配慮が欠けていると、どんなに内容性がよくても、どんなに構図的にはまとまっていても、どこか締まりのないだらしない写真になってしまう。
たとえば、画面の端に写真の内容とは無関係の枝が入り込んでいたり、画面の角方向に伸びている枝が角ではない位置からフレームアウトしていたりすることだ。後者の場合、たとえ角で枝がフレームアウトしていなかったとしても、内容に影響はないかもしれないが、ほんのわずかなことであるなら、なおさら角からフレームアウトしているほうがすっきりと美しく見える、そんな意味だ。
とても小さなことだ。カメラのファインダーや背面モニターを見ているときは気がつかないかもしれないが、大きなモニターに映したり、プリントにしてみると気になってしまう。ましてや、フォトコンテストの場では、そういった小さな配慮や処理ができているか否かが当落の分かれ目になるのである。
上の写真、左上に注目してほしい。角に斜めの枝が入っていることがわかるが、この枝は写真の内容とは無関係なので、これを入れる必要はない。そこに気づき、角の処理を修正したものが下の写真だ。とても小さなことだが、枝に気づいてしまうと上の写真はどうにも落ち着かない。
2つの写真を見比べてほしい。写っているのはほどんど同じ場面だ。注意深く見ないと違いはわからないかもしれないが、右上角と右下角に、小さいながらも決定的な差がある。上の写真、右上角は枝の処理が中途半端だし、右下角と幹は少しずれている。一方、下の写真は、2つの角に枝や幹がきれいにおさまっている。内容が同じだとしたら、どちらが美しいかに議論の余地はないのだ。
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