「自然光ポートレートの超絶レシピ」はその名の通り、10人の写真家が自然光を光源とするポートレートの撮り方を指南する主旨の書籍です。
太陽の出ている時間帯であれば誰にでも活用するチャンスのある自然光ですが、光をコントロールするためには、その場の“光を読む”技術が必要です。では、プロのカメラマンは、どのようなテクニックや工夫を使って、優れた作品を生み出しているのでしょうか。
本記事では、カメラマン・福島裕二さんによる「基本テクニック・屋外編」より、「順光、サイド光、逆光」の扱い方についてご紹介します。
>この連載の他の記事はこちら
基本の3つの光の向きを意識する
まずは光がモデルに正面から当たる順光、横から当たるサイド光、背後から当たる逆光の3つを押さえておきましょう。
ポートレートを撮る時は、色や強さ、向きなど、モデルにどんな光が当たっているのかを意識することが重要です。中でも光の方向性は、一番写真の印象を左右すると思います。
私の撮影では、まずモデルの造形に合いそうな向きの光を決めて、メインカットを撮ります。その後は現場で可能なあらゆる向きの光を試していきます。その際、背景に当たるがきれいでも、その子の造形に合っていなければ別の選択を考えます。ポートレートを撮る者としては圧倒的にかわいい寄りを撮ることを至上命題にしているので、色々な光を試すのは、ここぞという時のアップで外さないためでもあります。
ポートレートと相性抜群の逆光
ポートレート撮影で一番使うのが、逆光と少し角度のついた半逆光です。女の子の顔をきれいに撮るには、フラットな影のできる逆光が基本です。特に、アップの時は背景が多少白飛びしても気にならないので、逆光で撮れば間違いありません。下の写真のように影の出方に気をつければ昼間のトップライトでも逆光で撮ることができます。右上の夕方の写真のように太陽に角度がついている状態では、背景がふんわりした雰囲気で撮影できます
ドラマが生まれるサイド光
人物の中に光の濃淡が生まれるサイド光は、組み写真の中に突然現れるとドラマが生まれます。この写真では、風の流れ、体の向き、光の向きがサイド光によって統一感を生んでいます。撮る時はモデルの造形に対して影の形がアリなのかをしっかり見極める必要があります。人物の中に生まれる輝度差(明るい部分と暗い部分の露出の差)にも注意しましょう。どちらかが白飛び、黒つぶれする状況では、体の向きを変えてもらったり、レフ板で暗部を起こすなどの対処が必要です。
ハッとするような印象で撮れる順光
普段見慣れているけど、写真に写るとドキッとしてしまうのが順光です。掲載カットでは手で影を作ったり、顔の一部を切ったりして印象を誇張しています。やり方は、モデルの顔を見ながら自分がOKと思える影の状態で、顔に露出を合わせて撮るだけ。ダイナミックレンジの広い、光学特性が良いレンズで撮るのがオススメです。現像時に暗部復活させるという手もあります。
<玄光社の本>