日々目まぐるしく変化していく現代社会において、世界や国内の情勢を正しく見極めるために知っておきたい教養こそ「地理」「歴史」「公民(政治経済)」と感じている方も少なくないのではないでしょうか。
「オトナのための教養が身につく! 日本の地理・歴史・公民」では、スタディサプリの社会科講師を務める伊藤賀一が、義務教育課程の内容にプラスアルファした情報を分かりやすく解説。イラストや図版つきのオールカラーでしっかり学べる”教養書”となっています。これからの社会を生き抜く上で必須の知識を、「オトナ」だからこそ学び直したい時に役立つ一冊です。
本記事では、第二章の「歴史」から、文明を築くことができた「人間」の始まりについて紹介していきます。
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人類が文明をつくれた理由
人類とほかの動物の大きな違いは、直立二足歩行をすることです。木の上に住んでいたサルが草原に進出した時、遠くを見渡すため直立二足歩行を始めました。直立したおかげで、頭部が重くなっても支えることができるのです。 そのため、類人猿よりも脳の容積が大きくなり、さらに空いた両手で道具を使えるようになりました。こうして、人類はほかの動物にはないレベルの文明を築いたのです。
人類史の99%を占める先史時代
約700万年前、アフリカのチャドで生きていたサヘラントロプス・チャデンシスが今のところ最古の人類であるとされています。 最初の人類は猿人といい、道具=石器を使うことができました。続いて登場した原人は、ジャワ原人や北京原人のようにアジアにも広がり、火や言葉も使えたようです。続く旧人段階では、現生人類とほぼ同じ脳の体積となりました。そして、約20万年前に登場した新人が、我々の直接の先祖、すなわち現生人類となります。
〈猿人から人類への進化と脳容量〉
世界最古の絵画は芸術の国に
私たちの直接の祖先である新人はアフリカで生まれ、その後世界各地に移住しました。クロマニョン人など新人の特徴は、絵を描くなどの芸術活動を始めたこと。
その代表例が、フランスのラスコーやスペインのアルタミラなどに残る洞窟壁画です。野生の牛や馬、鹿などの動物などが描かれています。「狩猟が上う手まくいくように」といった願いをこめて描かれたのではないかと考えられているそうです。